予知夢

―――――未来の見える人間など居ない
                ――――未来を見つづけられる人などいない
        ――――未来を知ったときすべからく絶望するからだ
俺には予知能力がある。
予知と言ってもそんなに便利な物と言うわけではない
とある夢を見るのだ

俺はその夢の中で一人の女の子と会話をしている
その会話はその日起こったことを話しているのだが
その会話で言った事と同じことが次の日起こると言うだけだ

初めのうちは喜んだりもしたが、次第に気付き始めた
次の日何が起こるか分かっていてもその出来事を避けることは出来ない
自分が何をしようと起こることは起こるのだ
それに気がついたとき俺は夜が恐くなった

何かに気がついたときそのときはもう手遅れなのだ―――
人は希望があるからこそ絶望し失望するからこそ希望をもてるのだ


ただ俺にはまだ救いがあった。
確かに起こる出来事を無くす事は出来ないが規模を小さくする事なら
自分の行動で変えることができると分かったからだ

高校生になった時友人が学校の正門の前で帰り道に事故に遭い右足を骨折 する夢を見た
俺は何とか被害を小さくしようとし友人を無理やり裏門に連れて行って帰った
そして事故は起こった

”両足骨折”

それが友人の身に起こった出来事だった
その日から俺は一睡も出来なくなった

数日後俺はついに睡眠不足から意識を失った

気がつくと目の前に女の子が居た
夢の中の女の子だった。
その子は不思議な事に俺と同じように夢の中でも年をとって大きくなっていた

俺は気がつくとそのこに未来を見ることの辛さを全てぶつけて話していた
その子はその話を聞き終えると小さくこう言った

「あなたは未来が見えると言う才能をもって生まれた。ただそれだけの事
 別に特別な事じゃないだからあなたは自分にできることをやればいいだけよ」


「って話をしたらしんじるかい?」
俺は目の前で熱いコーヒーを何とか飲もうと四苦八苦している恋人に言った
彼女はコーヒーカップに舌を少しだけ入れたり出したりした後 顔をあげずに言った
「信じるわよ。だって私も見てたもの。その夢」
俺は自分のコーヒーを口にゆっくりと運ぶと 改めて彼女の顔を見た

―――夢の中でみてきた彼女の顔を