クラリネットボックス clarinet box                                         albclb


[T]古典的クラリネット
   ミュラー式クラリネット
[U]シンプル式クラリネット
 (アルバート式クラリネット)
   クリントン式クラリネット
   エーラー式クラリネット
[V]ベーム式クラリネット
[W]各種混成型クラリネット

[T] classical clarinets
   Mueller system
[U] simple system
  (Albert system)
   Clinton system
   Oehler system
[V] Boehm system
[W] hybrid clarinets

 19世紀末から1930年代くらいまでに製造されたクラリネット……特に、いわゆるアルバート式クラリネットを中心に展示しています。製造時期不明のものも多く、下の分類項目も個々の楽器も必ずしも年代順にならんでいるわけではありません。(例えば、ベーム式クラリネットが発表されたのは1843年ころで、パテントc#メカ付きのアルバート式クラリネットが生れた1861年よりもかなり前のことです。つまり、下の[U]と[V]は発展の順を表すものではありません。)
  ※このサイトにおけるクラリネットの分類とキーの数え方について     
                
[T] 5〜14キー/0リング(5〜14keys/0 rings)ボックスウッドの古典クラリネットから ミュラー・タイプのクラリネットまで
   Goulding、Rudall-Rose-Carte、Noblet、 Wood & Ivy etc.
[U] 12+αキー/2〜6リング …アルバート式、ドイツ式などミュラー直系タイプのクラリネット
 @・2リング、パテントC#なし(2rings,without patent C#) JéromeThibouville-Lamy、E.Albert、left-handed (左利き用)etc.
 A・2リング、パテントC#付き(2rings,with patent C#) E.Albert、E.J.Albert、Mahillon、日管、Conn、Maino e Orsi etc.
 B・4リング、〃(4rings)  G.L.Penzel、Berteling、H.Selmer、Bohland & Fuchs、Lacroix、タナベ etc.
 C・5リング、〃(5rings)  Lecomte、Penzel Mueller、Conn、Pupeschi-Conn、Buffet Crampon etc.
 D・6リング、カヴァード〃(6rings, covered keys) Penzel mueller、Pruefer、Selmer、Adler、 Boosey、 Gunckel、etc.
 E・クリントン式、エーラー式など 〃(Clinton,Oehler sys. etc.) Boosey 、Hawkes、Buffet Crampon、F.A.Uebel
etc.
[V] ベーム式(Boehm system)
 Buffet Crampon、Bettoney、H.Selmer、日管、Zimmermann、F.A.Uebel, Pedler etc.
[W] 部分的・変則的ベーム式(part Boehm, hybrid etc.)
 Buffet Crampon、Berteling、Heckel、McIntyre
開設日:2004.02.05 最終更新日:14.10.16
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☆参考文献・資料(sources) 作業室 (私流タンポ作り)
 展示楽器、写真、テキスト等は随時入れ替え、追加します。

※このサイトにおけるクラリネットの分類とキーの数え方について

要約
・このサイトでは、呼び名が固定したシステム以外のクラリネットは、キーやリングの数によって便宜的に分類しています。
・ベーム式クラリネット以外のキーの数え方は、ミュラー式クラリネットを基準とする伝統的な方法に従っています。実際に指で押さえる独立的なキーの他に、下管リング(開口ブリレ)と、パテントC#メカニズムをそれぞれ1つのキーとして数えます。
(現代のドイツ系メーカーのカタログ等での数え方とは一致しない場合があります。それについては立ち入りません。) ↑トップに戻
 このサイトを作りはじめた時、クラリネットを何らかの特徴に基づいて分類するのは、意外に難しいものだと感じました。
 まず、時代や発展段階による分類は、もともと私の収集の対象が特定の時期に集中していることから、ここには不向きでした。
 次に、システムによる分類を考えてみました。その場合、現時点での二大勢力であるベーム式クラリネットとエーラー式クラリネット、近代クラリネットの源流であるミュラー式クラリネット、20世紀初めごろにイギリスで愛用されたクリントン式クラリネットなどのように、呼び名と指示対象との関係が比較的明確なものは問題なく分類できます。しかし、シンプル式クラリネット、アルバート式クラリネット、ドイツ式クラリネットのように、それぞれの指示対象も相互関係も不明瞭なものは、実際問題として有効な分類項目にはし難いということがわかりました。構成部分や内径の形によって、それぞれの典型というものはある程度イメージできるのですが、中間的な特徴をもち、製造国も不明というような楽器の場合、どう呼ぶべきか決められないということがしばしば起こります。
 というわけで、システム名だけを分類項目とするのはやめ、キーやリングの数という比較的単純な指標を併用することにしました。これらの数は、概ね後代になるほど増える傾向がありますから、ある程度楽器の発展段階を反映することにもなります。
 なお、個々の楽器を性格付けるのに適切であると思われる場合には、便宜的に「通称」も使っています。
 さて、キーの数は「比較的」単純な指標ではありますが、全く問題がないわけではありません。非ベーム式クラリネットの運指表や昔のカタログなどで、説明に書かれているキーの数が、楽器の図や写真で見える数と一致しないのを不思議に感じられた方も多いと思います。図には12のキーしか描かれていないのにタイトルには「13keys」と書いてある、あるいは説明に「15keys」とあるのに、写真でどう数えても13しかない、ということがよくあり、私も長らく不審に思っていました。
 いろいろ調べているうち、これは、イワン・ミュラー(Iwan Müller)が1812年に発表した13キーのミュラー式クラリネットにおけるキーの番号を踏襲しているためであろうということに気づきました。
 残念ながら、ミュラー自身の記述はまだ見たことがないのですが、オスカール・クロル著《Die Klarinette》(日本語訳書名「クラリネット・ハンドブック」)中の説明によって番号を付けると、下の1のようになります。(写真の下に続く)
ミュラー式 ミュラー式+リング パテントC#付き 分岐テコの例

 水色の数字で示したのが、各キーで開閉されるトーン・ホールの位置です。管の下から順に番号が付いています。黄色の数字で示したのは、同じ番号のホールを開閉するキーの、指で触れる部分です。1のミュラー式クラリネットでは、水色の数字と黄色の数字とはすべて対応しています。
 しかし、2のような、下管リング(アドルフ・サックスが1840年に特許を取得した開口ブリレ)のあるクラリネットでは、6番のキーの役割をリングが果たすようになったため、ホールだけが残って、キーはなくなっています。したがって、キーを常識的に数えると12しかないのですが、ヴィデマンの運指表や多くのカタログ類では、このタイプの楽器も13キー付きクラリネットと呼んでいます。
 次の3は、1861年にイギリス人ジョセフ・タイラーが発明したとされるパテントC#メカニズム、および8番キーと同じ役割をもつ右人差し指用のサイドキーSがついたクラリネットで、典型的な「アルバート式」クラリネットの一つです。C.ローズの運指表にはこれと同じ構造の楽器の図が付いており、「15キー付きクラリネット」と書かれています。これも常識的にキーを数えると、2の楽器より「S」キーの分だけ多い13になるのですが、やはり、6番キー相当のリングを1つのキーとみなし、パテントC#メカニズムで増えた「A」も1つのキーとみなして、合計15キーとするわけです(3の写真のキーの数字とS,Aの記号は、カール・フィッシャー版、C.Roseの運指表に合わせてあります)。

 このサイトでも、キーの数え方は上記の伝統を踏襲しています。多くの資料との食い違いを避けるためです。
 また、4の写真にあるような分岐テコは、一つのキーとしての機能はもっているのですが、他のキーから枝分かれしているだけなので、キーの数には入れていません。これもカタログ類との食い違いを避けるためです。楽器によっては、このような数え方では矛盾が生じることもありますが、たいていの場合、「下管開口ブリレ、パテントC#メカニズムはそれぞれ1キーとみなす。他は実際に存在する独立的なキーの数を数える」という原則を当てはめて問題はないと思います。
 
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