09/08/30 馬瀬川鮎づくしの旅
〜岩屋ダムを越え美輝の里へ〜


■コース概要※)

(一日目)
豊田市街(外環状道路)−扶桑町9丁目(東海環状道豊田勘八インター手前)−県345→中金町平古−国153→中金町日影−県344県33→豊岡−国153→新盛−県19→小渡−県11→明智−国363→山岡−国418−河合−県68→白川口−国41→金山−国256県86→岩屋ダム(東仙峡金山湖)−(馬瀬大橋)−県431→馬瀬美輝の里→県431(折り返し)国256県328国156東海北陸道美並I.C.

※)ツーリングマッップル(昭文社)の1/140,000縮尺地図を元に作成しました。 青字は高速道路または有料道路、赤字は国道、緑字は県道を表しています。



 8月も終わりにさしかかり、残暑という言葉もそれらしく聞こえるようになってきた。 第45回衆議院議員総選挙のこの日、暑さと共に去っていく夏を追いかける旅に出ることにした。

 他に用事があったかみさん共々、否が応にも降りかかってくる膨大な納税義務にくらべ米粒のような国民の権利を行使するため、期日前投票を済ませておいたのである。

 そして向かったのは、岐阜県下呂市岩屋ダムから馬瀬川をさかのぼってたどり着く”美輝の里”である。 目的は2007年の某コンクールで日本一のグランプリを獲得したという”馬瀬川の鮎”を味わうこと。
ロックフィル型岩屋ダムの石積み上を走る道路
駆け上がった山道を隠す馬瀬川下流の森を見下ろす



 九州筑紫平野の真っ只中で育った自分にとって、筑後川とその支流は大切な遊びのフィールドだった。 川に飛び込んで泳ぎまくっていたのである。 命がけの川渡りなど、今考えると、かなりぞっとする。 事実、川の事故で命を落とす子供が多く、信心深い親は水神さまのお守りを身につけさせていたことを思い出す。 

 そんな環境で育ったものだから、川魚にも馴染みが深かった。 今でも帰省したときに、筑後川で取れた鮎の塩焼きや鯉こくなどを口にすると、田舎に帰ってきた事を実感するのである。 そのせいか、川魚を味わう自分なりの基準があるらしく、鮎を食べるとその鮎が育った川のイメージが湧いてくるのである。 天然の鮎は、川石をおおった苔を食んで成長するせいかもしれない。

 美輝の里ことホテル美輝では、馬瀬川の鮎を味わえるだけでなく、南飛騨馬瀬川温泉のスパも併設営業している。 馬瀬川の鮎を味わって、馬瀬川温泉のアルカリ単純泉でまったりくつろぐことにしよう。 そして、天然鮎と温泉という”権利”にたどり着くためには、タフなワインディングを駆け抜ける”義務”を果たす必要がある。 しかし、投票という実感の湧かない”権利”に比べ、こちらは、喜んで果たしたくなるご機嫌な”義務”なのである。  




(ルート概要)

 豊田市街から外環状線を北上し、東海環状道豊田環八インター手前で県道345に降りると、国道153に合流した。

 その後、県道344と県道33で国道153を迂回しながら、県道19、県道11、国道363、国道418を繋いで北上を続けた。

 国道418で木曽川を越えると、県道68で中野方峠を越えて国道41を高山方面へ走り、さらに国道256を郡上方面に向かった。

 国道256の途中で県道86を岩屋ダムに分岐し、県道431を繋いで美輝の里に到着した。

 美輝の里で休憩後、復路に折り返して国道256に戻ると郡上八幡方面に走り、国道156をつないで、東海北陸道美並インターから名古屋方面へと帰路に着いた。



いつもならばツーリングの始まりとして、加茂広域農道を利用する事が多いのだが、たまには違うワインディングから始めてみることにした。

 東海環状道豊田環八インターへ向かって、豊田市街から始まる外環状線を走る。 そして、豊田環八インターの手前で外環状線を降りると、県道245を北東に走りだした。

 豊田環八インター付近から国道153をバイパスする県道345は、小気味良いワインディングが連続し、ツーリングの始まりとして申し分ないルートである。

 加茂広域農道のような走り応えのあるアップダウンやヘアピンは少ないが、長距離のツーリングの足慣らしと考えると、実に丁度よい加減のワインディングなのである。
東海環状道豊田環八インターの手前
外環状道から県道345に走りこむ、国道153への迂回路



 県道345では、遅い先行車に遭遇することもなく、南山CCの脇を通り国道153に合流した。 そして国道153を少しだけ足助方面に走ると、直ぐに第2の迂回路、県道344に走りこむ。 県道344の走り始めでは、緩やかなアップダウンとともに栗林の中のワインディングを楽しめる。

 道なりに県道33を走り継ぐと、足助を迂回して流れの良い国道153に再び合流する事ができるのである。 最近、足助バイパスが開通して足助の混雑は随分解消されたようだが、このルートが、いまもワインディングを楽しめる快適な迂回路であることに変わりはない。

 国道153に再び合流して稲武方面に走ると、県道19への分岐にさしかかった。 県道19で矢作ダムへの入り口である小渡を経由し、明智川沿いの県道11、そして明智鉄道沿いの国道363を走り、国道418に分岐して道の駅らっせいみさとで小休止する。

 このルートは、自分的に、三河から南飛騨、奥美濃を目指すときの定番ルートになった感がある。 この日も、らっせいみさとにトイレ休憩に立ち寄ると、水分を補給して国道418に走り出した。


国道153から再び山間の迂回路へ
県道344で栗林の中を走る
国道153から県道19を北へ向かう
飛騨から奥美濃へ抜ける定番ルートの始まり



 道の駅らっせいみさとから武並橋で木曽川を越えるまでの国道418は、ワインディングとその周りの景色の両方を満喫できるお気に入りのルートである。

 この日も、パーッと山の景色が広がるお気に入りの場所で、相棒のGSX−Rを停め、その景色ををデジカメに記録した。 改めて写真を眺めてみると、そのときの感動の20%くらいは収まっているかな。 残りの80%は、Web上で伝えるのは難しい感覚。 静かだが騒がしい音、暑いけど涼しい風、自然と溶けたタイヤが混じった匂い...。

 国道418で木曽川が近づくと、センターラインの無い狭い林間道が始まるが、武並橋で木曽川を渡るとそれも終わりとなる。 春には見事な桜並木を楽しめる木曽川沿いの県道412を走るとすぐに、中野方峠を越えて国道41に続く県道68の快走路が始まる。
国道418で木曽川をめざす
道の駅らっせいみさとから続くお気に入りの区間



 何度も紹介した事がある県道68だが、今回は中野方峠への駆け上がり途中に発見した名所?をお伝えしたい。 気持ちよいワインディングの写真を撮ろうと流していると、道沿いに何やら意味深な立て札を目にしたのである。

 それは、いぼ岩(いぼ神様)のことを記した立て札だった。 県道68の拡張工事に伴って、いぼ岩の先端だけを切り出して今の場所に移動したとのことであった。 立て札の説明書きを読んでみると、いぼ岩の上のくぼみに溜まった雨水や木の葉が腐り、その水がいぼなどの皮膚病に効いたことから、地元の人がいぼ神様とありがたがっていたということである。

 思わず岩によじ登り、ご利益のある腐れ水を全身にこすり付けたいとも思ったが、そこは科学的根拠の無いご利益に思いとどまる(笑)。 いぼ神様を後にして県道68に復帰すると、中野方峠に向けてライディングを続ける。

 その後、中野方峠付近でわずかに一車線の林間狭道に遭遇するが、県道68は相変わらずの快走路であった。 峠を越えるまでは中野方川沿い、峠を越えてからは赤川沿い、いずれも川沿いの集落を繋ぎならがら、緩やかなワインディングを満喫できる。


県道68で中の方峠を駆け上がる
国道41に貫ける快走路、左手の立て札が目に付く
県道58の拡張工事で移動されたいぼ岩
岩のくぼみに溜まった腐葉水がいぼに効くらしい



 県道68を走りきると、白川口で益田街道こと国道41に合流した。 しばらくの間、飛騨川沿いを高山本線と並走しながら高山方面に向かって走る。 追い越し禁止区間が多いが、地元車両のペースは速く、流れに沿って走ってもストレスを感じることは少ないだろう。

 それよりも、山肌の所々に巨大な岩が露出した飛騨川沿いの景色に目を奪われる。 時折みえる高山本線の鉄橋等も、旅情を感じさる景色として一役を担ってくれる。

 郊外の快走路を暫く流し、金山町の街中の混雑に差しかかると、郡上八幡方面につながる国道256への分岐は直ぐそこである。
県道68を過ぎ白川口で国道41に入った
飛騨川沿いの益田街道を北上する



 金山で国道41から国道256へ分岐すると、集落をつなぎながら郊外の山道へ周りの景色が変ってくる。 そして、岩屋ダムへの案内標識に従って県道86に分岐した。

 県道86に分岐し、第2馬瀬川ダムの横を駆け上がると、集落が無くなり本格的なワインディングが始まる。 まずは、岩屋ダムに向かって、見通しが開けない林間の掛け上がりが続く。

 そして、いきなり立ち木に突き刺さったユーノス・ロードスター...下り右コーナーで蛸踊り、対向車線を横切って衝突した模様。 対向車がいたら正面衝突は免れなかっただろう。 くわばら、くわばら、雷より怖いへたなドライバー。 対向車がセンターラインを割ってこないだろうと言うあわい期待は、拠り所にしない方がよさそうである。
岩屋ダムから東仙峡金山湖を眺める
右手湖岸には県道86のワインディング



 ワインディングの途中で、ロードスター、そしてNSXのグループに遭遇する。 ワインディングを楽しみたいのは皆同じ、ここは人気のワインディングと気持ちを切り替え、視界優先で走行ラインを組み立て、センターライン側に一本余裕をもった立ち上がりを心がける。

 岩屋ダムを越え、金山湖沿いの県道86沿いをさらに馬瀬川上流に向けて遡る。 そして馬瀬大橋に差しかかると、弓掛川沿いをせせらぎ街道に駆け下りる県道86と別れ、県道431で馬瀬川沿いを走り続けた。  以前、岩屋ダムからせせらぎ街道まで県道86を走りきったことがあるが、弓掛川沿いの酷道にくらべて馬瀬川沿いの県道431の何と快適なことか。


金山湖沿いの県道86
湖岸に沿った短いピッチの切り返しが続く
馬瀬大橋を渡り郡上へ下る県道86と分れ
右手の県道431へと走り込む



 金山湖沿いの県道86は短いピッチが続き、馬瀬大橋を過ぎた県道431に入ると、コーナーは比較的緩やかになり、馬瀬川の清流を眺めながらクルージングを楽しむ余裕も出てくる。

 今回は美輝の里でまったりと休憩したかったので往路の県道431に折り返したが、そのまま北上して国道257でせせらぎ街道に貫けるも、国道41に合流して高山を目指すも、いずれも面白そうなツーリングのバリエーションを提供してくれそうなルートである。


 
清流馬瀬川を眺めながら県道431を走る
川の流れに沿ったワインディングは緩やかで走りやすい



 馬瀬川沿いの県道431のクルージングを楽しんでいると、道の駅馬瀬美輝の里にたどり着いた。

 道の駅には、簡単な土産物屋さんと、露天風呂だけの”美紀の湯”があり、さらにその周りには、馬瀬川の鮎も味わえる食堂も営業している。

 今回訪ねたのは、道の駅からさらに山に駆け上がったホテル美輝。 ホテル美輝内には、馬瀬川温泉”スパー美輝”とレストラン”いわつつじ”が営業している。 ”いわつつじ”では、もちろんお目当ての馬瀬川の鮎を味わう事ができる。 
駐車場にGSXーRを停め美輝の里を見上げる
ホテル、スパ、レストランが一緒になった施設



 道の駅から美輝ホテルに上り詰めると、駐車場にGSX−Rを停めホテル美輝のフロントに立ち寄った。 スパー美輝の入浴料がセットになったメニューがあるらしいので、まずはレストラン”いわつつじ”へ。

 レストランいわつつじの暖簾をくぐり、アルパインスターのライディング・ブーツを脱いで冷たい麦茶を飲み干しながらメニューを確認する。 お目当ての馬瀬川の鮎を味わえる”鮎塩焼き御前”が、スパー美輝の入浴券700円也付きで2,650円也。 キャンペーン中だったらしく、通常の3.150円よりもリーズナブルな価格だったようだ。

 ツーリングマップルで帰りのルートを確認しながら待つと、注文した鮎塩焼き御前が運ばれてきた。

 鮎のフライはサクサクした食感が楽しめ、甘露煮の甘辛い身はほろほろに崩れそうだった。 どちらも頭からかぶりついてご馳走様。 塩焼きには時間がかかるらしく、しばらくして運ばれてきた。 2007年の利き鮎グランプリを獲得した塩焼きの味は...正直言って分からなかった(笑)。

 自分の中では、思いっきりひいき目に見て筑後川の鮎が今も日本一、中部エリアでは板取川の鮎、そして地元奥三河の寒狭川の鮎、馬瀬川の鮎の香りはまだ脳みそに焼き付けられるには至ってないかも。

 塩焼きを味わったあとは、固形燃料で暖められた鮎雑炊、付け合せの刺身や小鉢、そして葛餅などを平らげると、支払いと引き換えにスパー美輝の入浴券を手に入れた。 今度来る時は、道の駅そばの食堂のリーズナブルな塩焼きと露天風呂で十分かなぁ、というのは正直なところ。

 さて、南飛騨馬瀬川温泉の泉質はPH9.98のアルカリ性単純温泉で、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復・疲労回復・健康増進などに効くとされている。 加水はされていないが、源泉の温度が31.9℃と低いため加温されている。

 スパー美輝では15種類の温泉浴が楽しめるが、箱蒸風呂などどう見てもさらし首にしか見えない趣向にはためらいがあり、ほどほどに楽しむ。 アルカリ泉質のためかお湯にはわずかなぬめりがあり、温泉らしいお湯を味わう事ができる。


鮎塩焼き御前2.650円也
その1馬瀬川の鮎フライ
その2馬瀬川の鮎甘露煮



その3馬瀬川の鮎塩焼き
2007年某コンクールで日本一になった鮎
その4鮎雑炊
その他、刺身や付け合せ



 馬瀬川温泉で体をほぐした後は冷たい上がり湯をかかり、休憩用の座敷で横になってしばらく放心状態となる。

 放心状態となりながらも帰りのルートを再度思案し、県道431をさらに北上する北周りのルートをあきらめ、国道256に向けて折り返すルートを確認した。

 往路で道の特徴を把握しているため、復路ではメリハリのあるペースで馬瀬川沿いのワインディングを駆け抜ける。 あっという間に、岩屋ダムと第二馬瀬ダムの脇を走り抜けると、国道256にたどり着いた。

 国道256に合流してからは、和良の集落を抜けて郡上八幡に向かう快走路をたどる。
馬瀬川沿いを折り返し国道256を西に走った
県道328を長良川沿い国道156に駆け下りる



 この日郡上八幡では、7月11日に始まった郡上踊りが、9月5日の踊り納めにむけて架橋に入っている最中。 祭りの雰囲気を分けてもらいたい気持ちも頭をよぎるが、鮎を食いに来ただけのツーリング親父、祭りで盛り上がる郡上八幡の市街を避けて県道328に分岐し、国道156にむけて一気に駆け下りる。 そして、国道156で美濃方面に南下すると、東海北陸道美並インターから名古屋方面へと帰路に着いた。


(あとがき)

 まだまだ残暑厳しい日はあるが、街も山も秋の気配で溢れている。 最近二輪事故、特に熟年ライダーの事故が増えていると聞いた。 季節が良くなって街や山にくりだすバイク乗りが増えているせいなのだろうか。 その真偽は分からないが、1、2週間ぶりにGSX−Rにまたがっても違和感を感じてしまう事を考えると、中途半端な係り方を拒むあたりが趣味性が高いオートバイの特性を現しているようでもある。 永く乗り続けることに意味があるという言葉は、年齢による体力や反射神経の衰えに対するものだけではないのである。


(2009年9月6日掲載)





<関連サイト>
■美輝の里 ホテル美輝  岐阜県下呂市馬瀬西村1695 電話(0576)47-2641 
                  http://www.mikinosato.co.jp/



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