〔第3回〕 事前面接のジレンマ

 派遣社員をしたことがある人なら契約前の面接を経験したことが1度はあることでしょう。
 名称は「面接」以外にも「打ち合わせ」「顔合わせ」「説明会」などありますが、ほとんどの場合それら面接を経た後に契約の締結(あるいは不調)となります。
 面接後に無事契約がなされればよいのですが、問題は契約が不調になったときです。
 少しでも派遣社員の法的権利などを調べたことのある人ならお分かりでしょうが、派遣先企業による契約前の事前面接や派遣労働者の特定行為は法律によって禁止されています。したがって面接後に契約が不調になるということは本来起こらないはずです。
 ところが派遣会社の多くは事前面接を要求し、面接による契約の合否がなされることを容認しています。
 事前面接は一見自然な行為のように感じられます。会社が正社員を雇用する場合、履歴書の提示と面接を経て応募者の人となりや適正を確認し、応募者にとっても社風や業務の内容、待遇の確認ができるため面接が行われます。
 しかし派遣労働の場合、派遣先企業はその派遣労働者を雇用するわけではありません。また派遣社員は派遣会社のスタッフであって派遣先企業への就職を目的としているわけではありません。派遣先企業は派遣会社と業務処理をする契約を結んだに過ぎず、派遣スタッフは営業が獲得してきた業務を、派遣先企業に出向いて処理するわけですから、派遣社員には専ら「託された業務を適切に処理する能力があるか否か」だけが問われるのです。派遣会社がスタッフに業務処理の能力があるか判断し、あると認められれば業務の処理をお願いするという流れになりますから、派遣先企業が派遣社員を特定する行為が入り込む余地はありません。
 事前面接が公然化してしまうと、派遣先企業が実質的に派遣社員を正社員同様の扱い(働きのみ同様を求められるものであって、待遇は正社員のそれよりも劣る)を容認することになり、正社員の派遣労働への切り替え(雇用の不安定化)と生活水準の劣後につながってしまうのです。
 ですからわれわれ派遣労働者は事前面接を拒絶し、面接後の契約不調に対して応分の補償を求めなくてはなりません。
 では実際に派遣会社から事前面接を要求されたとき、毅然と拒絶ができるでしょうか。
 現在紹介される仕事のほとんどが事前面接を要求するものですから、面接を拒絶した場合は仕事を紹介されないことになります。
 派遣会社も不法行為をしている意識はほとんどないので、事前面接を当然のように要求しますし、面接に応じないような困ったスタッフ(正当な主張をしているに過ぎないのですが…)には仕事を紹介しないといっていいでしょう。仕事を紹介されないと困りますから、不調になっても文句を言わない人がほとんどですし、それを知っていて派遣会社も事前面接を要求してくるわけですね。
 われわれ派遣社員として生活している者にとってはここが非常に強いジレンマになります。事前面接に応じてめでたく契約締結となれば憤りも小さくなりますが、不調なんてことになったら「不法行為をしている上に不調とは!!」と怒り倍増です。(゚Д゚#)−3
 私もいままでいくつか事前面接をして合否の割合は半々です。不調になっても派遣会社に文句を言ったことはありません。将来紹介されるであろう次の仕事のために、ぐっと我慢しているのです!
 もし悪質なら団交で補償を要求し、事前面接をしないよう言質をとらなくてはいけません!
 いつの日か派遣会社に頼らなくてもいい経済状態になったら、事前面接を要求した派遣会社は訴えてやるから、首を洗って待っていろー!!                                                              ( 文 : 高等遊民 )

バックナンバー[1] , [2]

トップページ 所在地 概要 よくある質問 リンク