そしてコトバのグルグルまき_20110311-13

785 3月
   11日14時46分ー12日10時39分

埼玉県和光市
スーパーマーケット内3階
ファミリーレストランでバイト中
ランチのピークタイムを過ぎ
ティータイムにむけて引き継ぎの時間

10組弱、20名弱のお客様
スタッフはホールに3人
厨房に3人
休憩に1人

その時揺れた

スーパーマーケット内は
非常ベルとともに
「只今大きな地震が起きていますが
 この建物は崩れる心配はありません。
 建物内にいるほうが安全です。
 お客様は落ち着いて従業員の指示に従って下さい。
 従業員はガスの元栓は切りましたか?
 お客様を大きな通路に誘導して下さい。」等々
繰り返し放送が流れる

わたしはお客様にテーブルの下に身を隠すよう
揺れの中ホールを毅然と回る

硬直して動けない
初老の独りでご来店のお客様の傍に寄る

レジで思考停止しているスタッフが
どうしようと涙目
とりあえずお客さんを落ち着かせようと声をかける

揺れが収まってみたら
天井から
ものすごいホコリが落ちてきていたことに気付く

テーブルのホコリを拭きながら
お客様にお茶を出し
すぐに会計して帰ろうとする人に
すこし落ち着いてからどうぞと振る舞う

また大きな余震
先ほどの館内放送
むしろ不安をあおる
何を根拠にこの建物は崩れないと言っているんだろう

新規お客様は入らないよう
閉店の看板を出す

厨房では少し割れ物があったよう
ガスは大元から全停止

ホールはホコリまみれ
咳が出る程空中を漂ってる

船酔いしているみたいに
アタマがクラクラする
余震を感じながら
何から手をつけていいやら
とにかく片付けを始める

スーパーマーケットのテナント担当が
安全の確認にやってくる
しばらくして
ガスが止まっていても
提供できるものだけで営業を続けるよう指示あり

耳を疑った
我々従業員は人間扱いされてない

電車が止まったおかげで
お客様もちらほら来る
ドリンクとデザートだけで対応する
中には
食事できないことを不服そうにして帰る方も

あんな揺れにあって、余震も続いているのに
よく外食する気になるものだ
電話もまだつながらない時に
家族や友人の安否は気にならないのだろうか

時間の経過とともに
自分の気分がグラついてくる

定時を過ぎて
とりあえずわたしはあがる
残ったスタッフに気をつけてと声をかける
戸田さんも気をつけて帰ってねと返してもらう

まだ駅は改札が開いていたので
動かない電車に乗り込み
座席に深く座り
とにかく自分を落ち着かせようと試みる
あちこちにメールもする

1時間後
運転再開断念の放送

駅を出るとタクシー待ち長蛇の列
30分待ってみて諦めた

とにかく歩いてみる
2時間くらいで帰れた
いい方だろう
歩いたおかげでグラついた気分もだいぶ落ち着く

帰りがけに朝バイトの喫茶店に寄る
こちらは閉店していたが
夜担当の子たちがまだ残っていて
無事を確認し合う
今朝の開店のためにカギを預かる

余震を感じながら浅い眠り

朝バイトの店長と連絡を取り合いつつ
早めに出勤

ガスは通っている
食材の納品が開店時間を過ぎても来ない
少ない材料で
また
余震を恐れつつ営業開始

それでもお客様が来る
朝の常連さんたち
8時を過ぎるとむしろいつもの土曜より混む

朝ほとんど出ないデザートやケーキの注文に
わたしはついていけない

電車が通るたびに揺れる木造の古い喫茶店に
なにをのんきに昨日の今日で朝からやってくるのだろう
いまだ東北では非常事態なのに
どうして朝からパフェとか食べられるのだろう

喉元過ぎて熱さを忘れ過ぎのお客様に呆れる
それにありがとうありがとう言っている自分にも呆れる
帰宅難民で遅れている次のシフトの子の到着を待って
わたしはあがる

いろんなことが馬鹿らしく思える
そして哀しく思える

2011.3.12 22:20

786 わたしは飲食店で接客業のアルバイトをしています

ふたつ掛け持っています

朝の常連さんには
一人暮らしの老人で
病気持ちのかたが多く見受けられます
飲んだクスリのカラを置いていかれるので
調べれば何の病気かわかるでしょう
そんなことしても意味がないのでしませんが
たぶん喫茶店のモーニングが
病院の朝食みたいなもので
「いつもので」
の注文がたいへん多いのです
ただの喫茶店ですが
こんな災害時でも
この人たちにとっては
これがライフラインなのだと思えば
開店しなければいけないのだろうと思います

昼のファミレスは
今の状況で
どれだけの必要性があるのかわかりません
きっと必要性がないわけはないのでしょう
でもちょっとわかりません
それは
ランチタイム〜ティータイムを
担当しているからかもしれませんし
路面店ではないからかもしれません

地震当日と翌日に見た、
モノ喰う人々
わたしはそれに正直嫌悪感を持ち
今日は昼のファミレスを欠勤しました

でもこれが現実なんだということを
受け止めるしかないのでしょう

いまだがれきの下に人がおり
流され遺体さえみつからない遺された人が呆然とし
体育館に身元の分からない遺体が数百と運び込まれ
実際
東京のわたしの生活を支える電力を供給してくれる
原発爆発の危険に晒され避難を余儀なくされている
数十万の人々

同時刻に地震を体験し
ニュースで凄惨たる状況を知っても
外食にやってくるお客「様」
きっとこの今に感謝していてほしい

想像力欠如
刹那主義
視野狭窄
もしそうならば
わたしはそんな現実と闘いたいと思います

闘いの武器は
わたしの笑顔と感謝の気持ち
裏切られて血を流す可能性があったとしても

2011.3.14 0:30

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