NST(栄養サポートチーム)マニュアル

<規 約>

1.   はじめに

東葛クリニック病院NST(栄養サポートチーム)は、外来・入院患者に対して効果的な栄養療法を選択・実施するチーム医療である。

2.  目的

NSTの目的は、外来・入院患者の栄養状態を評価し、適切な栄養療法を選択・実施することより、栄養状態の改善から治療効果向上、合併症減少、QOL向上、在院日数短縮、医療費削減等を行うことである。さらに活動を通して、医療の質向上をはかる啓発的目的をもつ。

3.   組織

1)NSTは何れの部署にも帰属しない独立した組織であり、統括は病院長によって行われる。

2)NST構成メンバーは、病院長によって任命される。

3)任期は半年で、4月と10月に更新あるいは変更を行う。


4.  活動内容

1)ランチタイム・ミーティング 

 毎週月曜日(1230分〜1330分)

  内容 @各部署および各チーム報告

(1)NCM報告

(2)ICT報告

            a)感染症発生状況

            b)抗生物質&TPN使用状況

            c)ICT総括

       (3)PUT報告

       (4)SU報告

       (5)NST報告

     Aミニ・レクチャー

     B系統講義

2)NST回診

 毎週月曜日(14時〜16時)

  内容 @NST電子カルテを用い、職域を越えたディスカッション

     A総回診

3)勉強会(院内・外)

院内:オフサイド・ミーティング(年4回開催)

院外:チーム医療人フォーラム(年2回開催)



身体計測に関する数式

@ 身長(m)と体重(kg)から

         身長(m)×身長(m)×22=理想体重(kg

    理想体重比(%)=体重(kg)/理想体重(kg)×100

A%AMCから

      ACcm)上腕周囲長   TSFmm)三頭筋皮下脂肪厚

      AMCcm)上腕三頭筋囲

      AMCcm)=ACcm)−3.14×TSFmm)/10

     %AMC(男性)=AMCcm)/基準値×100
           AMC(女性)=AMCcm)/基準値×100

B%TSFから

           TSF(男性)=TSFmm)/基準値×100

           TSF(女性)=TSFmm)/基準値×100





体重減少による栄養障害(疑い)の評価

軽度栄養障害

中等度栄養障害

高度栄養障害

5%/月

2%/週

2%/週

7.5%/3ヶ月

5%/月

 

10%/半年

7.5%/3ヶ月

 


体重変化率の算出法とその評価

1.理想体重(IBW)=身長(m2×22

2.%IBW=実測体重/IBW×100

%通常時体重(UBW)=実測体重/通常時体重×100

%体重変化率=(UBW−実測体重)/UBW×100

3.ガイドライン

        %IBW 8090%=軽度栄養障害

             7079%=中等度栄養障害

             69%以下=高度栄養障害

        %UBW 8590%=軽度栄養障害

             7584%=中等度栄養障害

             74%以下=高度栄養障害

日本人の身体計測基準値 JARD 2001

 

AC(cm)

TSF(cm)

AMC(cm)

男性  25〜29歳

27.75±3.25

12.51±6.69

23.82±2.84

       35〜39

28.20±2.94

12.77±5.81

24.19±2.79

45〜49

27.76±2.69

11.68±4.81

24.09±2.60

       55〜59

26.89±2.52

10.04±4.74

23.74±2.42

       65〜69

27.28±2.72

10.64±4.19

23.94±2.58

       75〜79

25.82±3.02

10.21±4.24

22.64±2.68

85〜

23.90±3.10

9.44±4.59

20.93±2.71

標準値

27.23±2.98

13.70±6.79

23.67±2.76

 

AC(cm)

TSF(cm)

AMC(cm)

女性  25〜29歳

24.46±2.53

14.75±7.01

19.82±2.52

35〜39

25.30±2.4

16.14±6.88

20.27±2.33

45〜49

26.02±2.91

16.59±7.10

20.77±2.48

55〜59

25.99±3.33

16.76±7.81

20.83±2.83

65〜69

26.40±2.73

19.70±6.97

20.14±2.34

75〜79

24.61±3.48

14.43±6.77

20.09±2.67

85〜

22.88±3.37

11.69±5.90

19.21±2.68

標準値

25.28±3.05

16.07±7.21

20.25±2.56

血液検査を参考にできない場合の指標

      欠乏症状            疑われる不足栄養素

衰  弱

タンパク質・エネルギー

腹部膨満

タンパク質・エネルギー

肝臓肥大

タンパク質・エネルギー

浮  腫

タンパク質・チアミン

褥瘡・創傷治癒遅延

タンパク質・ビタミンC・亜鉛

骨敏感症

ビタミンD

骨  痛

ビタミンC

蒼  白

葉酸・鉄・ビタミンB12

皮膚角化症

ビタミンA・ビタミンC

リンパ周辺の静脈点状出血

ビタミンC

皮膚のはがれ・落屑

タンパク質・エネルギー・ナイアシン・

 

リボフラビン・亜鉛・ビタミンA

打撲傷・紫斑症

ビタミンC・ビタミンK・必須脂肪酸

皮膚の色素沈着

ナイアシン・タンパク質・エネルギー

陰嚢皮膚炎

リボフラビン

セロファン様皮膚炎

タンパク質

頭髪が細い・少ない

タンパク質・亜鉛・ビオチン

脱毛しやすい

タンパク質

巻き毛

ビタミンC・ビタミンA

スプーン状の爪

横線がある爪

タンパク質

夜 盲 症

ビタミンA

光恐怖症・結膜炎・

リボフラビン・ビタミンA

画像の不明瞭

 

歯肉の出血・萎縮・多孔性

ビタミンB12・タンパク質

潰 瘍・肥 大、

ビタミンC・ビタミンA・ビタミンK・

口唇症(乾燥・ひび割れ・潰瘍)

葉酸・ナイアシン

舌 炎

リボフラビン・ナイアシン・葉酸

口 角 炎

リボフラビン・ピリドキシン・ナイアシン

舌   裂

ナイアシン

味覚減退

亜鉛・ビタミンA

静脈血液ガス、各値からみた病態

pH

PaCO2

HCO3

H/C比

病態

 

呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシス

 

呼吸性アシドーシス

 

 

7.35以下

呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシス

 

 

 

代謝性アシドーシス

 

代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシス

 

 

7.35-7.45

正常

 

代謝性アルカローシス+呼吸性アシドーシス

 

 

 

代謝性アルカローシス

 

呼吸性アシドーシス+代謝性アルカローシス

7.45以上

 

 

呼吸性アルカローシス

 

呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス

 

 



体外への異常喪失の近似的組成

体 液

Na(mEq/L)

K(mEq/L)

Cl(mEq/L)

胃 液

20-80

5-20

100-150

膵 液

120-140

5-15

40-80

腸 液

100-140

5-15

90-130

胆 汁

120-140

5-15

80-120

回腸瘻液

45-135

10-80

10-110

正常

10-30

3-10

10-35

嚢胞性線維症

50-130

5-25

50-110

熱傷由来

140

5

110

消化液の分泌量と組成(mEql

消化液

分泌量 ml

Na

Cl

HCO3

胃 液

2500

10-115

1-35

90-150

0-15

胆 汁

500

130-160

3-12

90-120

40-50

膵 液

700

115-150

3-8

55-95

60-120

腸 液

300

85-120

2-10

45-125

-

唾 液

1500

10

30

10

10-20

 

50-80

5

40-85

0

脱水症の分類・症状・検査所見

症状・検査所見

水分欠乏脱水

Na欠乏性脱水

混合型脱水

口渇

あり

なし

あり

口腔粘膜乾燥

中度〜強度

なし

中等〜強度

精神症状

興奮、指南力↓、

反応↓、無関心、

様々な精神症状

 

幻聴、狂暴

失禁、昏睡、嗜眠

頭痛

なし

しばしば

時にあり

立ちくらみ

なし

中等〜重症にてあり

初期よりあり

痙攣

なし

あり

あり

皮膚

乾燥

皮膚緊張↓

皮膚緊張↓

体重

軽度減少

中等〜高度減少

中等〜高度減少

血圧

正常

中度〜高度低下

中等〜高度減少

尿量

乏尿

末期まで正常

乏尿

尿比重

高い

低い

様々

尿中Na

ある

著しく減少

ある

Ht

軽度上昇

中等〜高度上昇

正常

血清Na

増加

低下

正常

BUN

軽度上昇

中等〜高度上昇

正常

血液粘稠度

正常

中等〜高度増加

正常

尿検査・腎機能指標による鑑別診断

水・電解質異常と
腎機能

尿検査値と腎機能指標

判  定

尿Na濃度

 

脱水

10mEq/l

腎以外の原因(嘔吐・下痢など)

15mEq/l

腎からのNa喪失による

尿Na濃度

 

10mEq/l

脱水または浮腫性疾患

Na血症

尿Na排泄

Na摂取量

SIADH,利尿薬、副腎不全、腎不全

尿浸透圧

>血漿浸透圧

SIADH、浮腫性疾患

  ≒血漿浸透圧 

腎不全

Na血症

尿浸透圧

<血漿浸透圧

尿崩症

尿浸透圧

>血漿浸透圧

脱水

尿K濃度

 

K血症

10mEq/l

腎外性K喪失(嘔吐・下痢など)

15mEq/l

腎性K喪失(利尿薬、高アルドステロン症、

 

尿細管性アシドーシス)

尿Cl濃度≦10mEq/l

胃液喪失

代謝性  

Cl摂取量

利尿薬、K欠乏、高アルドステロン症

 アルカローシス

尿pH  ≦7.0

K欠乏、高アルドステロン症

5.5

尿細管アシドーシス、炭酸脱水素阻害剤

尿Na濃度

代謝性アシドーシス

10mEq/l

腎前性

乏尿(急性腎不全)

15mEq/l

腎性

FEa  <  1%

腎前性

≧ 1%

腎性

腎機能

CCr

腎機能の定量的評価

尿浸透圧≒血漿浸透圧

腎不全

FENaNa排泄率%)=(尿Na濃度×血清Cre濃度/尿Cr濃度×血清Na濃度)×100

CCr(クレアチニン・クリアランス)=尿Cr濃度×尿/血清Cr濃度


Na補正式

140−現在の血清Na値=基準値との差

基準値との差×体重×0.6=不足Na量(mEqL

不足NamEqL÷17=不足NaClg

不足NaClg)÷何日間で補正するか(日)=1日の添加量(g


Naに関する基礎知識   食塩1g中のNa量・・・17mEq

脂肪乳剤の投与基準

1日の投与量 0.51.0 gkg/ BW (2050g

20% 脂肪乳剤 250ml5時間以上

10% 脂肪乳剤 100ml:2時間以上

アミノ酸投与基準      1gkg BW3060g

K投与基準

@濃度:40 mEqL 以下

A速度:20 mEq/時 以下

B投与量:100 mEq/日 以下

C尿量:0.5 mlkg/時 を確保

主な輸液組成成分の最大許容量

組成成分

最大許容量

500 ml/時

Na ・ HCO3

100 mEq/時

K ・ Ca・P

20 mEq/時

ブドウ糖

0.5 g/kg/時

アミノ酸

0.2 g/kg/時

脂肪乳剤

0.1〜0.5g/kg/h



TAPERING (経腸栄養剤)・具体例

@消化管が一週間以上未使用

(GENERAL) ※オーダー名:GENERAL−1

1日目・エンテルード1P+水350ml・25ml/hr

2日目〜・エンテルード1P+水350mlx2(朝夕)・35ml/hr〜

4日目〜・エンテルード1.5P+水525mlx2(朝夕)・50ml/hr〜

7日目〜・投与前に水200ml・ライフロン6 目標量ml 2〜3x 徐々にアップ

※以後、速度アップ

(CRF) ※オーダー名:CRF−1

1日目・エンテルード1P+水350ml・30ml/hr

2日目〜・エンテルード1P+水350mlx2(朝夕)・35ml/hr

4日目〜・エンテルード1.5P+水525mlx2(朝夕)・50ml/hr〜

7日目〜・リーナレンPro1.0 目標量ml 2〜3x 徐々にアップ

※以後、速度アップ、かつ「テルミール2.0α」にて蛋白質量を調整

(HD)  ※オーダー名:HD−1

1日目・エンテルード1P+水350ml・30ml/hr

2日目〜・エンテルード1P+水350mlx2(朝夕)35ml/hr

3日目〜・エンテルード1.5P+水525mlx2(朝夕)・50ml/hr〜

7日目〜・テルミール2.0α 目標量ml 2〜3x 徐々にアップ

※以後、速度アップ、かつ「リーナレンPro1.0」にて蛋白質量を調整

A消化管の未使用が短い

(GENERAL)  ※オーダー名:GENERAL−2

1日目・ライフロン6(400ml)1x・25ml/hr

2日目〜・ライフロン6(800ml)2x(朝夕)・35ml/hr〜

4日目〜・ライフロン6(1200)2x(朝夕)・50ml/hr〜

7日目〜・投与前に水200ml・ライフロン6 目標量ml 2〜3x 徐々にアップ

※以後、速度アップ

(CRF・HD)  ※オーダー名:CRF−2、HD−2

1日目・テルミール2.0α(200ml)1x・25ml/hr

2日目〜・テルミール2.0α(400ml)2x(朝夕)・35ml/hr〜

4日目〜・テルミール2.0α(400ml)1x(朝)・50ml/hr〜

     +リーナレンPro1.0(250ml)1x(夕)  〃

7日目〜・リーナレンPro1.0を追加した目標量ml 2〜3x 徐々にアップ

    HDは、水分量含めテルミール2.0αのみの管理も考慮