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院長あいさつ


初めまして院長の兼利です。

兼利幸則 先生
(カンちゃんの「きままにインタビュー」2007/02/180号より)
東京都江東区亀戸2-24-3
グランズ亀戸103
TEL 03-3682-1970
大分県出身 昭和32年生


●開業されて何年ですか?
1985年開業で、21年になります。ずっと柔道をしていて、大学の監督もやっていました。現在も江東区の柔道会の理事をしていて子どもたちに柔道の指導をしています。そもそも柔道整復は、柔道の技と切り離せない“活殺一体”の関係にあります。柔道を極めるということは柔道整復と両方ができて本物といえます。柔道を一生できるということもあって柔道整復師の道を選びました。大学を卒業して渋谷の花田学園に入り、同時にカイロの治療院や接骨院で書生として学びました。その後船橋の救急病院で臨床を重ねました。救急病院では慈恵医大の先生がいらしていて、その先生が柔整にとても理解のある先生で勉強会を開いていただく一方でその先生の治療法や手術を間近で見て勉強することができました。毎日毎日、あらゆる外傷を見ることができましたので、そこの貴重な臨床体験や書生時代の体験が役立っております。これは手術が必要だ、あるいは保存でいける、というような判断の基準はある程度身についてきております。
●最近は接骨院に外傷でくる患者さんも少なくなりましたね
それがとても残念です。柔整師自体が骨折などをやらなくなって、リラクセーションを志向することが多くなりました。リスクのある外傷は病院に回せばいいと。整形外科でも手術の技術が格段に進歩していますから骨折は手術で、というのが当たり前になっています。しかし私の信条は、柔整の技法で保存的に手術より早く治すということです。先日も千葉から車で2時間かけて骨折の患者さんが運ばれてきました。転落事故で橈骨の粉砕骨折です。現場の親方がうちの患者さんで、うちは手術しないで治療するとわかっているので運んできたのです。労災も扱っていますし。その日に整復固定しました。うまく包帯を巻いて局所を適度に圧迫することで腫れも生じません。腫れがなければ機能回復もまた早いのです。私から見れば最近は保存で治療できる外傷も手術に頼りすぎているように思います。その見極めが大切ですが長年やっていればその範囲も徐々に広がっていくものです。それは職人としての精神と技量の積み重ねがものをいう世界だと思います。
●職人的技術というとむずかしい面もありますね。
職人というのは手の技術、手の伝承です。私たちは検査する機械が少ないですよね。では何に頼るか? 手なんです。手の感覚と視診、触診、問診、これで7、8割はわかるんじゃないかと思っております。なおかつレントゲン検査でそれを確定させます。レントゲンは必ず撮って写真を持ってきてもらいます。かといって昔ながらの骨接ぎではだめなのです。運動療法も神経学的な検査も反射、レベル診断もちゃんとやらなければいけません。解剖学的なことは絶対に覚えていること。「これは頚椎捻挫ですね」ではダメで、何番目の頚椎がこうなっているのでこういう症状が出ている、そのように説明できなければ今の患者さんには納得していただけません。レントゲン写真もきちんと見れて説明できなければ。ですからレントゲンも整復前と後をコンピュータに保存して弟子たちの勉強にも用います。このくらいの見極めをつけて治療しないと、治療方針はたたないと思います。そして、その毎日毎日の繰り返しの中で、職人としての第六感を鍛えることが大切だと思います。今は、そうした職人としての気構えすらないから触診や包帯を軽んじることにもなるのです。今の人はそれらのすごさがわかっていない人が多いように思われますが、どうでしょうか。今は包帯も使い捨てで、医師も看護師に巻かせたりします。しかし私は何回も洗って伸ばして巻いて、手になじませ、気持ちにも込めるようにします。整復してうまく包帯を巻けば腫れも出ません。当然早く回復します。包帯は多少ずれても腫れが出ても大丈夫なように許容範囲を考えて巻くのが職人としての技です。着物を上手に着る人は帯をゆったりと締めても着崩れしませんね、それと同じです。柔整師は包帯をうまく巻けて当たり前、しかも手際のよさが求められます。きつくもなく、強くもなく、ズレもなく。そんな技を身につけたいと思ったら何百回と練習しますよね。柔道と同じで柔道着を着て毎日素足で畳の上を歩いておかないと感が鈍るように、とにかく包帯を巻く、触る、魂を込める、そういう柔整師になりたいと思いますね。
●外傷といってもさまざまですね?
簡単だと思える怪我ほど落とし穴があります。骨折などのひどい怪我は本人も一生懸命治そうと努めますが、軽いヒビや捻挫くらい、というような怪我ほど管理が難しいですね。患者さんは痛みがとれるとすぐに動きまわったりしてまたすごく痛くなるとかね。大きな怪我などの治し方は教科書にも書いてあるでしょうが、かえって軽い怪我をうまく管理して治すというようなテクニックこそ、年数たたないと身につけることができないんじゃないでしょうか。
●柔道整復の技術はどのように身についていきますか?
どんなに本を読んでも柔道ができるようにはなりません。柔整の技術もやってみるしかありません。柔道の打ち込みと同じです。しかしまた教えられてうまくなるものでもありません。自分がどのくらい技術を盗めるか、です。盗んで、ああこうなのか、と思ったときに身につくのです。そうして得た技術は頭から離れませんから。
●外傷が減った今、肩こりや腰痛の患者さんもいらっしゃいますよね。
寝違いやぎっくり腰などはやりますよ。そして予防的ストレッチなども重視して指導します。しかし単なる疲れて起こるような肩こりだけなんかは断ることもあります。うちは看板にも「ほねつぎ」だけしか出していません。古いタイプの接骨院ですから、もうそんな時代ではないという人もいます。しかし柔道整復の本来は何か。
●先生のこれからの方向性は?
大学で柔道の監督をやっていた時の師範の先生が、バリ島に移住されています。そこでNPO法人を立ち上げて、子どもたちに柔道を教えようと、今道場を建てている最中です。それが07年の5月にできます。私も理事にさせていただいており、柔道着や古着を送って支援しています。ですから、余裕ができたら年に数回はバリ島に赴いて、柔道を教えたり、骨接ぎができたらな、と思っています。柔道を教えながら怪我した子を治す、それが本来の骨接ぎだったではありませんか。「捻挫は多少できるけど、骨折はできません」ではとうていやっていけません。柔道整復師の国家資格をとって、男の一生の仕事にしたのですから、やはりプライドを持ってこの仕事をしていきたい。弟子に対しても、そんな硬派な柔整師になってほしいと思っています。「人間がもっている感覚は鍛えればすごいんです。」職人的技は、基礎から、同じ事を何回も繰り返し鍛え、地道な努力の中で年々研ぎ澄まされて身につけるしかないと思いました。包容力のあるやさしい雰囲気の先生ですが、どんな状況下でもその状況を切り抜けるたくましさと創造力をお話しの中で感じました。