すくすく通信 NO.13 2005/11/25
赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみましょう!
1.赤ちゃんとの会話
数年前、母親と乳児のコミュニケーションの研究のために、仙台市内の
約60人のお母さん方に調査のご協力をいただきました。事前にご了承を
いただいたお宅を一件ずつお伺いし、お母さんと赤ちゃんがおしゃべりを
している様子をテープやビデオで記録させていただいたのです。それを赤
ちゃんが生後3ヶ月から9ヶ月になるまで続けさせていただきました。
おしゃべりといっても、もちろん0歳の赤ちゃんはまだお話しできません。
ですから、お母さんからの語りかけが中心となります。けれども、たいてい
お母さんの孤独な一人語りとはならないのです。なぜなら赤ちゃんも立派に
応答しているのですから。
これはあるお母さんと3ヶ月の赤ちゃんとの会話です。
母「今日はお天気いいですね。」
子「あーあー。」
母「そうですね。あーあーですね。」
子「あーうー。」
母「そうなの。お外に行きたいのね。」
子「うーうー。」
この会話の様子を録音し、さらに音響分析によって調べてみたのですが、
まるで成人どうしの会話のように、お母さんと赤ちゃんは実にタイミング
よく交互に声を出しているのです。このように交互に話すことを「発話交替」
といいます。発話交替はふだん大人どうしでは無意識に行われていますが、
実は会話におけるとても大切な原則なのです。
相手が話している間は黙って聞き、相手が話し終わったらあまり間をおかずに
自分が話し始める。このように互いにキャッチボールをするように交互に発話
することにより会話は続きます。もし、相手が話し終わらないうちにもう一方が
話し始めたら会話は成立しませんし、逆に、相手が話し終わったのにもう一方
からの応答がなく、沈黙が続いたりすると、間が持たず困ってしまいます。
この会話の大切なルールを、お母さんを始めとする養育者とのやりとりの中で、
赤ちゃんは少しずつ学んでいくのです。
2.赤ちゃんの音声の発達
ことばはヒトを他の動物と分けるものであり、ヒトにとって重要で本質的な
ものといえるでしょう。赤ちゃんは1歳のお誕生日を迎えるころまではまだ話す
ことができませが、それまでの1年間に音声はどんどん発達していき、話しこと
ばに向けての準備をしています。
生まれて最初の1ヶ月間に出す声はほとんど泣き声です。それが1ヶ月を
過ぎたころから、泣き声ではない「あーあー」という声もきかれるようにな
ります。この時期の音声は「クーイング」と呼ばれるもので、5ケ月ころから
発せられる「標準的喃語(なんご)」よりも柔らよりも柔らかい響きの声です。
クーイングは快の状態のときに発せられるため「プレジャーサイン」とも呼ば
れています。このクーイングが出始めると、先ほどの例のように、お母さんと
の声の相互作用(やりとり)が可能になるのです。
標準的喃語はクーイングとくらべるとしっかりとした発音で「あーうー」
「ばぶばぶ」といった音声が発せられます。この時期の声をきくと赤ちゃんが
話し始めたような印象を受けます。この喃語が後の話しことばに連続していく
と考えられており、喃語の出現はことばの発達にとても重要なものです。
また、生後3〜8ヶ月のころ、赤ちゃんはさまざまな種類の音声を出すよう
になります。「きゃーきゃー」というような甲高い声から、「うーうー」と
低くうなるような声など、幅広い音声が発せられます。初めて聞く方は
「どこか具合悪いのかしら」と驚くことも多いでしょう。けれども、赤ちゃん
がいつもと違った声を出していても、ご機嫌で顔色や表情もよく、全身の健康
状態がよければ、それは赤ちゃんがさまざまな声を出して楽しんでいると考え
ていいでしょう。この時期を「声遊び」の時期と呼ぶこともあります。
3.人生最初の声変わり
このような赤ちゃんの音声の発達的変化は、単に体が成長するから、という
だけではなく、音声器官の特別な変化によるものです。実は生後4ヶ月ごろから、
人生最初の声変わりが始まるのです。それは喉頭(こうとう;のどの下の部分)
の位置の変化によるものです。
4ヶ月前の赤ちゃんは鼻で呼吸をしながら、口からミルクを飲むという器用な
ことができることはご存知でしたか?これは喉頭が高い位置にあり、ミルクを
飲んでもむせにくい構造になっているためです。ところが、喉頭が上にあると
話すのには都合が悪いのです。そこで4ヶ月を過ぎたころから少しずつ喉頭が
下がってきます。喉頭が下がることにより、声の響きが豊かになるとともに、
舌を動かしやすくなり、話しことばに適した構造になってくるのです。
しかし、今度はそのおかげで食べ物や飲み物を誤嚥する危険性が増えてしまい
ました。つまりヒトは進化の過程でことばを獲得するために誤嚥のしにくさを
犠牲にしたのです。その点、チンパンジーの喉頭の位置は4ヶ月前の乳児に似
ており、誤嚥しにくい代わり、ことばを話すことはできません。もちろんことば
を話せるかどうかは喉頭の位置だけが関係しているわけではありませんが、
話すシステムにおいて大切な要素です。(次号No14に続く)
仙台医療福祉専門学校言語聴覚学科長 庭野賀津子(言語聴覚士・臨床心理士)
*参考図書:「親乳児間における音声相互作用の発達的研究」庭野賀津子著 風間書房
保育園紹介「わらべ保育園」
社会福祉法人清心福祉会「わらべ保育園」(昭和53年4月開園)は、東京都の
西北、八王子市の中でも特に緑豊かな宇津木町にあります。地域の熱い要望により
当時の園長(現会長)が農地を無償貸与して、わらべ保育園が産声をあげました。
当初100名定員にて開園させていただきましたが、保護者の要望により120
名に増員になり、大勢の方々に大変喜ばれるとともに、昔から近くに子ども達の教育
設備がない場所でしたので重宝がられ、地域の保育園としての基盤をゆるぎないもの
としました。
それから11年目に姉妹園である、わらべうつき台保育園が開園。地域の幼児教育
の担い手として多くの方々の期待を集めました。特に夏まつりでは、夕方より卒園児
・地域の皆様方の交流の場として模擬店を始め、盆踊り、仮装、花火やお土産など盛
り沢山のサービスを展開させていただいております。
また現在は、保育園のみならず、特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、居宅
介護支援事業所、在宅介護支援センターや八王子市から委託を受けた学童保育所など、
子ども達からお年寄りに至るまで地域の施設として安心してご利用されている次第で
あります。
法人としての基本理念“敬天愛人”の言葉を仰ぎ、奉仕の精神・慈愛の言葉を育み、
社会福祉事業で平和な社会に向けて貢献していく所存でございます。
園の目標でもあります、◎健康な体をつくる、◎豊かな心を育てるという目標は、
現代の私達にとりましてもとても重要な言葉と感じます。
給食は、無添加食品や低農薬米による手作り給食で、子ども達もこの時間を大変
楽しみにしております。一昨年のスチームコンベクションの導入により、手早く美味
しい料理ができ、家庭料理の人気者の手作りピザや茶碗蒸しも登場し、献立に変化を
持たせております。アレルギー除去食や代替食も対応させていただいております。
それから、保育園が自主的に取り組んでおります事業と致しましては、スポーツ
クラブ講師による体操教室(週一回、3、4、5歳児)、外国人講師による英語指導
(月二回、5歳児)、スイミングスクール講師による水泳指導(月一回、5歳児)を
行っています。
この他にもすぐ隣がデイサービスセンターですので、毎月、食事やゲームをし、利用
者の方々と楽しい一時を過ごしております。また、異年齢児交流や地域交流、中・高生
の職場体験にも積極的に取り組んでおり、これからの保育士養成のために実習生の受け
入れも行っております。
以上のような運営状況の中で、地域と連携し、社会奉仕を基本にこれからも頑張って
いく所存でございます。
( 八王子市 わらべ保育園長 桜澤 寿美枝 )
編集後記:
庭野先生は、臨床心理士の資格をお持ちの上に、更に、言語聴覚士の資格もお持ちです。
心理学を極めた上に、言語聴覚の分野も極めた方ですので、お話は学際的なことも含まれ
ています。しかも、わかりやすくお書きいただきました。今回(No13)は前編で、次回の
No14には後編として、マザリーズ(母性語)と赤ちゃんとのコミュニケーションを掲載し
ます。ご期待ください。
わらべ保育園は多彩な活動をしている保育園です。卒園児や地域の方々との交流の他に、
高齢者と子どもとの交流や中・高生の子育て体験などにも取り組まれています。体操教室
や英語指導も取り入れており、給食も無添加食品、低農薬米や手作りと非常に特色があり
ます。皆様の保育園でも頑張りましょう。
乳幼児突然死症候群をなくすために、「あおむけ寝で育てよう」、「タバコをやめよう」、
「できるだけ母乳で育てよう」を勧めましょう。
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