初回:04.3.18

02-7-1.緊急報告・「真姿の泉」(真姿の池湧水)についに異変が


武蔵野台地の南の縁辺地・国分寺崖線から湧き出る「真姿の泉」の真上(水脈の上)に、
トヨタ・大京・オリックス3社共同事業の大型マンション「国分寺ゼルクハウス」が建設中。
湧水への影響を心配している市民が、建設差し止めと現状復帰を求めて裁判に訴えています。


販売宣伝用うたい文句に対する市民からの反論のサイトはこちら:

大京が掲示した「国分寺ゼルクハウス」 販売宣伝用の大看板



 

●04313日 「真姿の泉」一段目の堰から落ちる流れがついに1本に。

 

04313日、朝、730分、泉に続く階段を降りる途中で、異変を察知した。
いつもなら階段の中腹あたりで聞こえるはずのせせらぎの音が、ほとんど聞き取れないほど弱い。
「ああ、とうとうこの日が来たな...。」

泉の一段目の堰の横まで来ると、昨日まで丸太様の擬木列の左右から2本落ちていた流れが、右だけ1本になっており、それも、今にも消えそうなか細い流れだ。
早朝から、水汲みの人が次々に訪れ、この光景を見て一様に絶句し、「減ったねえ..」とポツリと言う。
いつもは水を汲む人同士、おしゃべりがはずむのに、皆、押し黙っている。

04
314日、朝、水の流れは前日よりさらに細くなり、パッと見ただけでは、全く流れていないように見える。
水を汲む人たちは、見るなり「あ、水がない!」と驚きの声を発し、中には「水がないよ〜〜」と叫んでいる人もいる。
10
年くらい水を汲んでいるという人が、「今までこんなになったことは一度もなかった。」と言う。
「あーあ、名水がこんなことになっちゃって、もう汲めなくなるのか..」「コーヒーやココアを入れると本当に旨いのになあ、あーあ、残念だなあ。」と口々に嘆いている。

「この水、やっぱり美味しいのですか。」と聞くと、皆、口を揃えて「カルキ臭がなくて、本当に美味しいんだよ。」と言う。
中には、「こんなに水が減って、湧出口も汚れているから、もう飲まないほうがいいんじゃないの。」と声をかける人もいるが、その脇で皆、せっせと水を汲んでいる。
名水への愛着、飲用水としての湧水への愛着には根強いものがあると、つくづく感じる。

04
315日、早朝、泉に続く階段を降りて行くと、鳥の声以外、あたりはシンと静まり返っている。
もう、かすかなせせらぎの音さえ、全く何も聞こえない。
見ると、堰からオーバーフローするたった1本の流れもほとんどなくなり、わずかに水が垂れている状態になった。
丸太様の擬木列を支えている石組みの隙間や割れ目から、わずかにしみ出る水があり、それで全てだ。



●04315日の真姿の泉・一段目の堰

 

もはや、一段目の堰の流れは、水をペットボトルに注げないほどか細くなり、「水がないよ〜!」と叫ぶ人、呆然と立ち尽くす人、あきらめて帰る人もいる。

夕方、高校生くらいの男の子たちが56人順番待ちをしていて、ひとりひとりみんなボトルを56本ずつ持っている。
その子たちが、水がわずかに垂れている堰の丸太の間に木の葉を差し込んで注ぎ口を作り、水を集める方法で汲んでいる。
「うまいこと考えたねえ」と思わず、声をかけた。
その子たちがこの水を飲むのか、他のことに使うのかは聞かなかったが、熱帯魚などを飼っているのなら、水槽に入れるのかもしれない。
あるいは、学校の生物クラブの部員か。
水を汲むのは比較的、年配の方ばかりかと思っていたが、夕方の学校が終わる時刻になると、若い子たちも来ているので驚く。

ここまで水量が減ってしまったことで、ここ数日、泉を訪れる人たちは、水を汲む汲まないにかかわらず、半数くらいの人が、「やっぱりマンションが原因しているのだろうか」ということを自ら口にする。
半数の人は「いやあ、雨が降らないからでしょう。雨が降れば、また出ますよ」と言う。
「雨が降ればまた出る」と言う人たちは、皆、水を汲んで飲んでいる人だ。
湧水が飲用水として生活必需品となっている人ほど、マンションが原因であるとは考えたくない、「雨が降れば、水は必ず戻って来る」と信じたい気持ちが強いように感じた。

飲用水としての湧水への愛着がいかに強いかということをつくづくと感じるが、泉の湧出口の残留水量が激減しているため、飲むと危険な水になっているのではないかということが大変心配だ。
ついに、「水が不味くなった」という声も出ていると聞く。
「こんなに少なくなると飲むのは危ない」という声が出ている脇で、「ちゃんと沸かすから大丈夫」と言って汲んで行く。
「水を汲むのは今日で最後にする」と言っている人もいると聞く。
「しばらくの間、飲用にはしないで、魚を飼っている家の水槽にいれる」と言う人もいる。

水量は、1月の終わりごろからかなり減っていた。
崖上のマンションの杭打ち工事が全て終了した直後だ。
2
月の中ごろから、水路にアオミドロなどの藻の発生が目立つようになり、ここでこんな光景は今まで見たことがないと、人々を驚かせた。
2
20日ごろから、水は目に見えて激減しだした。
崖上のマンションの杭打ち工事が終了して1ヵ月目だ。
日照り続きで、「真姿の泉」の200メートルほど西にある「万葉植物園」の湧水も減り出した。
しかし、「万葉植物園」の湧水は、渇水の時、過去に何度か涸れたことがあるのをみんな知っている。
「真姿の泉」の湧出量ががここまで減っているのなら、「万葉植物園」の湧水はとっくに涸れていなければおかしい。
そういう声が出始めたのがこのころだ。
それでも3月上旬、水はまだかろうじて出ていた。
そして、深刻と言うべき異変が3月半ばにとうとう起きた。

「真姿の泉」は古来、一度も涸れたことがないという言い伝えがある。
江戸時代に新田開発のために入植した一族の末裔も、この泉がこんなになったことは見たこともないし聞いたこともないと言う。
確かに、言い伝えには証拠がない。
涸れたことがないことを証明する公文書も存在しない。
しかし、そういう言い伝えがあるということ自体、人々がこの泉は涸れないと全幅の信頼を置いて慕って来たことの証拠なのだ。

国分寺市はマンション建設事業者と、「湧水保全対策に関する協定」というのを締結している。
マンション工事に起因して、水量が激減したり水質が悪化したと判定された場合は、工事を中止して現状復帰させるという協定だ。
だが、マンション工事に起因したものだということを、誰がどうやって判定するのだ。
そして、どうやって現状復帰させるのだ。

水を汲みに来る人々は言う。
「だって、もう、杭は全部、打っちゃったんでしょう?」
「どうやって元に戻すんだよ。」
「建てた分を壊して、杭を抜くのかよ。」
「杭引き抜いたって、地面に穴あくだけじゃないかよ。」
「出来ねえ協定を結んだってわけか。」
「そういうことだ。」

02-7-2.「真姿の泉」04年2月1日、2月22日、3月9日の一段目の堰の様子

 

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