last update at 13-Mar.-97
Words by Stuart Gorrell
/Music by Hoagy Carmichael
(1930年)
ジョージア、ジョージア、
懐かしき甘き調べとともに、
心に浮かぶジョージアのおもかげを
私は一日中追っている。
ジョージア、ジョージア、
君の歌うその歌は、
松の木の枝から差し込む月の光のように、
甘く清らかに聞こえて来る。
たくさんの人の手が、私に向かって差しのべられる。
たくさんの人の優しい微笑みが、私に向かってそそがれる。
そんな夢のようなしあわせの中にいてもなお、
君のもとへ帰る道を、私は今もみつめている。
ジョージア、ジョージア、
私に安らぎはない。
懐かしき甘き調べとともに、
心に浮かぶジョージアのおもかげを
私は今も追い続けている。
主人公は立身出世を夢見て故郷の恋人を捨て、都会へ出て来てそれなりに成功し、恵まれた
境遇を手に入れたにもかかわらず何か満たされないものがあり、かつての恋人への未練がよ
みがえる・・。そんな歌でしょうか。こんな風に言ってしまうとミモフタもないかも知れな
いけれど、でも、そう考えたほうがかえって人間のリアリティーがあり、私としては共感を
覚えます。
単に恋心を甘く歌った歌ではなく、単なる望郷の念でもなく、若き日の自分の身勝手に対す
る後悔や、罪の意識や、負い目など、自分が捨てて来たものに対する痛みの感情に裏打ちさ
れているところがこの歌の凄いところだなあと思います。
なつかしさと痛みという二つの感情の交錯する歌詞と共に、メロディーの調子もまた、メジ
ャーとマイナーの間を揺れ動き、その流れが聴く者の心を揺さぶります。30歳そこそこで、
こういう甘さに流されぬ情感をメロディーにしてしまうのですから、やっぱりホーギー・カ
ーマイケルはただものじゃないぞ、とあらためて思います。
「Georgia On My Mind」が書かれたのは1930年。「Stardust」から3年後ですが、
「Stardust」に歌詞がつけられたのは1929年ということですから、その1年後の作品です。
作詞者も別の人ですし、曲想も全く異なりますが、私にはこの2つはどうも続きものという
感じがしてなりません。
「Georgia On My Mind」の作詞者、スチュアート・ゴレルという人はカーマイケルの同級
生で、「Stardust」が出来た時、彼が感じた曲のイメージからタイトルを命名した人。
「Stardust」の作詞はミッチェル・パリッシュという人がしましたが、この歌詞の内容は
「Stardust」というタイトルを前提に、おそらくカーマイケルが故郷の恋人と別れた時の
体験談を下敷きにして書かれたものだろうと想像されます。
その翌年書かれた「Georgia On My Mind」の詩の主人公は、まさしく「Stardust」の主人
公の数年後の姿という感じがします。スチュアート・ゴレルの頭の中には、おそらくそうい
う設定があっただろうと思います。彼がカーマイケルの身になってこの詩を書き上げたとす
れば、本当に豊かな感性と洞察力の持ち主で、スチュアート・ゴレルについてはこれ以上詳
しいことはわからないのですが、この影武者のごとき男、いったいどんな人だったのかと気
になるところです。
後にこの曲を大ヒットさせたレイ・チャールズは、「Georgia On My Mind」が書かれた
1930年、ジョージア州に生まれ、子供の時、一家でフロリダに移住。6歳で視力を失い盲学
校に入り、点字の楽譜で音楽を学びあらゆる楽器をマスター。15歳で孤児となり自立を余儀
無くされ、クラブなどで演奏活動を始めたそうです。その後、ミュージシャンとしては順調だ
ったようで、人気は日々に高まり、成功者としての道をのぼりつめて行くことになるわけです
が、1960年、彼が子供の頃から親しんだカントリー&ウエスタンを中心として吹き込みをし、
「Georgia On My Mind」のヒットもそこから生まれたということです。
大変な苦労の末に成功を手に入れたレイ・チャールズの「Georgia On My Mind」には、だか
らこそかえって、成功に至る長い道のりの中で失ったものへの、深い愛着と哀惜の情が歌い込
められているような気がします。それは、早く亡くした両親への思いかも知れないし、網膜に
焼き付いている故郷の風景かも知れません。自分に課せられた過酷すぎる運命に対する口惜し
さはとうの昔に乗り越え、しかし、ただなつかしく振り返るという以上の何かが、彼のソウル
の中には息づいているように感じます。
「Georgia On My Mind」30年目の大ヒット。それは、本当にその曲を歌うにふさわしい人と
の出会いだったかも知れません。すでにその時スタンダードであっただろうこの曲が、ひとつ
の偉大な魂と出会うことにより、始めに曲を作った者が与えた以上の輝きが与えられ、さらに
後世にまで歌いつがれて行く。
ひとつの楽曲のたどる運命の妙を感じずにはいられません。
年代順「ジャズ詩の旅」
このホーム・ページの1930年代の曲
But Not For Me(1930)/
Georgia On My Mind(1930)/
Love For Sale(1930)/
On The Sunny Side Of The Street(1930)/
All Of Me(1931)/
Willow Weep For Me(1932)/
It's Only A Paper Moon(1932)/
As Long As I Live(1934)/
Summertime(1935)/
Caravan(1937)/
My Funny Valentine(1937)/
Over The Rainbow(1938)/
What's New(1939)/
All The Things You Are(1939)/
ホームページに戻る
http://www02.so-net.ne.jp/~jamtoast/
Maintained by K.Hatanaka Since 1/Feb./1997