挑戦!東海自然歩道 西へ西へ!!

  東海自然歩道は国民のレジャー促進のため、環境庁(当時)、各自

治体が中心となって、昭和49年に完成した全長約1700kmの自

然歩道である。「約」1700kmというのは、完成当時は1300

kmくらいだったのが、その後の改修やルート変更・追加によって大

幅に延びたせいである。

 東は東京・高尾国定公園の高尾山、西は大阪・箕面国定公園という

東西の国定公園及び明治の森を結ぶ。途中では神奈川、山梨、静岡、

愛知、岐阜、滋賀、京都、三重、奈良などの府県も経由する。

 いわゆる東海道は東京から大阪まで約500kmだが、その三倍以

上の長さの東海自然歩道は、その途中にもさまざまな名所旧跡をちり

ばめている。また、歩道とはいえ、登山そのものの縦走ルートも多い

し、またある場所はひたすら住宅地や車道沿いを歩かねばならないこ

ともある。

 

 なぜ僕がこの東海自然歩道に挑んだのか?始めた当時、僕は登山歴

二年。アルプスなど高い困難な山もいいが、奥多摩などの低山をのん

びり歩くのも好きだった。成人式を迎える記念に、くだらない式に参

加するより、もっと有意義なことをしてやりたいと考えたからだ。そ

れに東海自然歩道と自分は「同い年」である。とにかく歩く旅が好き

な僕にとって、この東海自然歩道1700kmは格好の目標だった。

 

 最終目標はもちろん東海自然歩道全行程踏破。しかし学生といえど

も1700kmを一度に歩けるほど日数も予算もあるわけない。毎回

区間を決めて歩き、その区間のゴール地点が次回の区間のスタート地

点となる。その繰り返しで東京から大阪を目指すことにした。

 そのほかにもいろいろと自分に制約を課した。まずは一人旅。他の

旅、登山でも僕は単独行が圧倒的に多いが、この歩き旅も敢えて困難

な単独行を選んだ。二十歳を迎えるにあたり、いろいろ歩きながら考

えたいこともあるし、なによりこんな大変な活動に同行しようという

酔狂な人がいるわけない。他には、宿泊は原則野宿。テント・寝袋を

携行し、有料の宿には泊まらない。これは予算が無いのもあるが、も

ともと衣食住のすべてを背負って移動するというのにあこがれていた

せいもある。それに東海歩道の上に寝ることによって、歩道と一体に

なれるような、そんなバカなことを考えていた。また予算の都合で自

炊にせざるを得ないが、せっかく知らない土地を歩くのだから、その

土地の名物もできるだけ味わおうではないか、、、とこれはわりと自

由。もし東海自然歩道から外れているところに名所があるなら、寄り

道もできるだけする。歩きでは大変でも、またそこへ行く手間を考え

ると、ついでに行ってしまうほうが効率がよい。無論、寄り道したら

元のルートに戻ってから旅を再開する。

 

 一日に一体どれほど歩けるものなのか。それがコース日程をたてる

上での問題点だった。平地ならともかく、ほとんどがアップダウンの

ある山道だ。そこで、登山の時と同じように、無理がかからない平均

距離として一日25kmを出した。それがどれくらいの大変さか。一

度その距離を確かめてみようと思い立った。ちょうど自宅から大学ま

では25kmほどだ。スクーターや自転車では通ったことがあるが、

歩きは始めてだ。朝5時起きして出発したが、5時間もかかってしま

い、講義に遅刻してしまった。

 

 いまのところ、1996年の7月を最後に東海自然歩道から遠ざか

ってしまっている。現時点での到達地点は岐阜県の鵜沼。全ルートの

半分は越えただろうか。東京から遠く歩けば歩くほど、アプローチ的

にも予算的にも日数的にもつらくなるのがこの企画の難点だ。でもや

りかけたのだからいつかは再開して大阪まで全踏破を果たしたい!



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