いつもの日曜日
カリカリと鉛筆が紙の上をすべる音が部屋に響く。
自宅の部屋で勉強をしながら、大石は落ち着かない気持ちを持て余していた。
そんな自分にため息をこぼし机の上にペンを置くと、椅子をぐるりと回転させて自分以外に誰もいない部屋を見渡す。
自分自身に、今日は1人なのだと覚えこませるために。
先週の日曜日は宿題をやるために。
先々週は新しいゲームを一緒にやるために。
その前は・・・確かストリートテニスをやりに。
少なくともここ1〜2ヶ月の間の日曜日はいつも英二と一緒にいた。
それが今日はいない。
別に喧嘩をしているわけではない。
ただ単に今日は別行動というだけだ。
今度の日曜日は不二と映画を見に行くと聞かされたのが木曜日。
大石も一緒に行こうと誘われたけれど英二たちが見に行く映画というのは3部作の2作目で。
1作目を見ていないから内容がわからないかもしれないと結局は断ったのだが。
こんなことならレンタルで1作目を借りて見ればよかった。
日にちに余裕はあったんだし。
後悔先に立たずというのは本当だと大石は今日何度目かわからないため息をつく。
1人でいるのが寂しいというわけではなく、ただ何かが足りない気がしてしょうがない。
まさか、たった1日だというのに、こんな気分になるとは夢にも思わなかった。
部屋においてある時計は午後1時をさしている。
朝食を食べ終わってから他にすることも思いつかず勉強をしていたけれど、
気が散ってしまって朝から少しも進んでいない。
「まいったな・・・・」
明日になれば学校で部活でイヤでも顔を合わせるというのに。
大石は苦笑しながら机の上のノートと教科書を閉じた。
こんな調子で続けていても身につくはずがない。
部屋の時計を再度確認する。
英二たちは12時に待ち合わせてお昼の回の映画を見るといっていた。
たぶん後一時間ぐらいで終わるはずだ。
外出用に手早く着替えてコートを羽織り携帯電話と財布を持つ。
それまで駅近くで本屋でも見ていよう。
そして終わった頃にメールを入れて合流しよう。
いつもの日曜日を取り戻すための計画を頭の中で組み立てて、実行に移すべく大石は動き出した。
-end (04・04・05)