工房しろくま


小型電動飛行機の部屋



GWSのEDF50と40を考える


最初に・・

GWSのEDF50やEDF40ユニットは非常に良くできたダクトファンだと思います。もっと大きなサイズの物では凄まじい精度で高出力な物もありますが、片手で持てるサイズの機体を電動ダクトで飛ばしたいという場合には、非常に手軽で安価で使いやすい物です。
しかし、安価でシンプルだからといって安易な使い方をしては本来の性能は発揮できません。模型の商品は様々なユーザーが扱いますので、「こんなもの使えるか!」と言われる事が多いのですが、20年くらい前までは「あんたの手には負えないよ」で済んだ事です。簡単な物だからこそ慎重に扱って性能を引き出すという考え方は必要です。

普通に純正モーターで使う場合
EDF50の3枚インペラで50RLCモーターを使う場合(EDF50やEDF50Aのセット)は、ダクトケースのインテーク側だけでも補強リングを付け足してやりケースが歪まない様にしてやると良いです。リングは1ミリ航空ベニヤでも1ミリFRPでもカーボンでもかまいません。ダクト単体で搭載する場合にはインテークリングの様な形状に作ってやると推力が安定します。(在ると無しでは大違い)
機体はどちらかといえば小さめで速度が上がりやすい機体の方が良いでしょう。一部には市販機もありますが、翼面積が在る程度あって翼厚が薄い機体の方が向いています。クリックなどの無尾翼機とは相性が良いです。グライダーの補助動力として使う場合は、少し速度が高めの機体が適合します。小型のサーマル機にも面白いですが、アップを引きすぎる癖のある飛ばし方には向きません。(モーターカットしての滑空では通常のペラよりも抵抗は大きくなります)

バッテリーはニッカドかニッケル水素の6セルが適合します。リチウムポリマーの場合は2セルが丁度良いです。ニッカドかニッケル水素の場合は7セルでも良いと思いますが、6セルの方がモーターは長持ちします。リチウムポリマー3セルでの使用は50RLCモーターを焼くだけです。
ろくに実地テストもしないで3セルなら飛ぶであろうと推測で言われる事が多いのですけど、模型店のモーター売り上げの手伝いにしかなりません。
リチウムポリマー2セルでパワー不足を感じられる場合は機体の軽量化を考えた方が良いです。また重心位置が前過ぎて極端な頭上げで飛行する場合も抗力が余分に増えパワーの損失になります。

近年小型軽量で放電能力の高いリチウムポリマー電池が簡単に入手できるようになり「リポの恩恵で夢のような小さな機体が飛ぶようになった」と言われることが多いのですが、軽量なリチウムポリマー電池に頼って、機体の軽量化がおろそかになっている傾向はあります。
このサイズで使うニッカド250mahやニッケル水素300mahはEDF50で必要とされる電流値を満たすリチウムポリマー電池と重量は大差ありません。
小型軽量安価な受信機やサーボのおかげでいい加減に作られた重い機体でも飛ぶ・・という考え方は超小型機では通用しません。

パワフルなファンフライが増えたおかげで機体重量より静止推力が大きい事が珍しく無くなりましたが、初心者の方でこれを「無理なアップを引いても引っ張ってくれる余裕のパワー」と勘違いされる方が多くなっています。
あくまでも操縦は丁寧に飛ばさなければなりません。
推力と機体重量の目安として、機体重量は推力の2倍から2.5倍程度までに収める事を目安にされると良いです。
EDF50のノーマルユニットの場合は、全備重量150から200グラムが普通に飛ぶ範囲と思われると良いでしょう。EDF40だともっと速度は出ますが低速時の推力は落ちますのでもう少し軽めの機体を目標にすると良いでしょう。

インペラのバランスが狂っている(異音が出ている)場合は決して無理をせず、バランスをきっちり取ります。
スピンナーの内側にテープを貼るという方法が外国で紹介されています。
インペラは時に抜ける事がありますので、ちょっとだけ接着剤を塗って差し込みます。

12ミリクラスブラシレスモーターを使う場合の注意点
インペラとモーターの固定について
フェイガオなどの12ミリクラスのブラシレスモーターはEDF40や50に非常に良い性能を持っていますが、インペラを普通に差し込んだだけでは確実に抜けてしまいます。
この場合瞬間接着剤や永久固着のロックタイトを使って接着する事も多いようですが、これでも接着が不完全だと抜けます。
今のところ抜けない接着方法としては

  1. モーターのシャフトをアルコールなどで完全に脱脂する
  2. インペラのシャフト穴の縁を軽く皿もみする(圧入時に捻れにくくする)
  3. 中粘度もしくは高粘度の瞬間(OKならETかHW)をほんの少しシャフトの先に着ける、インペラの穴にもほんの少量着ける。
  4. インペラを圧入する(押し込み過ぎに注意)
  5. インペラの先端の穴から低粘度瞬間を垂らし、虫ピンなどで穴をこねて瞬間を奥まで浸透させる。
  6. この状態で完全に硬化するまで放置する。

という方法でEDF40に5800を使った状態でも抜けるトラブルは回避できています。
良く言われているように、嫌気性の永久固着ロックタイトを使う場合がありますが、プラスチックに対してはそれほどの接着力はありません。
またシャフトに傷を入れるという方法もシャフトの硬度が高い事や、精度の低下の面からもデメリットは多いです。
50XCやRLCに使われているヒートシンクを併用しているかぎりはトラブルは無いと思いますが、モーターに過負荷な組み合わせ(EDF50の5枚インペラに5800)では発熱が多くなり、シャフトの温度が上がる事で接着が緩む可能性はあります。

私もへろへろ40で垂直上昇中にフルパワーにしたとたん、インペラだけ真上にすっ飛んでいった事がありますです。

インペラのバランス取りについて
インペラのバランス取りについても諸説ありますが、大変に軽量で繊細なインペラのため、テープ程度の補正では難しい事があります。
また、モーターシャフトに取り付けられた状態でなければバランスを取る意味が薄れてしまいます。

実は私はEDF40や50ではインペラのバランス取りはしていません。ブレードのバリ取りは時々しています。(京商やミニファンではしっかりバランス取りをしています)
理由は上記の事がありますが、何故バランスが崩れるのかという事に目を向けてみましょう。

バランスが崩れる(偏芯する)理由として考えられる事

という事が考えられます。実は回転中のアンバランスはブレードやハブの樹脂のアンバランスではなく、ハブの変形が主な原因と思われます。ハブが偏芯しているインペラでいくら静バランスを取っても、実際の回転では振動が出ます。
オレンジ色でひ弱なインペラに見えますが、飛散防止のためか、非常に粘りのある樹脂で作られています。そのためハブが変形するような力が加わると折れな代わりにハブが偏芯してしまうのです。

対策としては

という事が肝要だと思われます。モーター交換の際、インペラを抜き取る時には大半の場合ハブを変形させてしまいます。また正確に抜き取ることができてもシャフト穴が緩んでいるために、新品を圧入した時のような強度は得られません。

EDF55の場合には、モーター付きセットの場合350モーターのシャフトにセレーション(ぎざぎざ)が加工してあるため、苦労してインペラのハブを抜き取ってもハブの穴は2ミリより若干大きくなっています。これを普通の2ミリシャフトのモーターに取り付けても芯はまず出ません。
純正モーターを使わない場合はモーター無しのセットを購入するか、ハブだけ単体で新品を使用された方が良いと思われます。
また、ハブはかなり強固に圧入されているため、インペラを抜き取る場合に大半の場合はインペラの芯が振れてしまいます。


EDF50は低速時にも推力が出る設計ですので、手投げは問題無いと思いますが、ダクトでもプロペラ機でも手首のスナップを使わず、水平に進行方向へ押し出す様に投げる事は大切です。

大きな電動ダクト機で水平に保持して手を離す瞬間にスナップを使い機首上げの状態で放り投げる人が多いのですけど、これでは飛ぶわけがありません。機体の推力や重量の問題ではなく、手投げの方法の問題です。特にダクト機はプロペラ機の様にプロペラの後流が操舵面に当たりませんから、手投げ直後の低速時にはプロペラ機の様に舵は効かず姿勢の復帰ができません。京商のF16なども手投げで持ちにくい形で、純正モーターでは加速があまり良くないため、手投げ後に機速がつくまでかなりの高度沈下があります。ここで無理にアップを引けばより沈下するだけになってしまいます。(一度速度が上がってしまえば十分な運動性がありますし、むしろ着陸で速度が落ちず接地が伸びすぎるくらいです)
紙飛行機を手で投げる時代ではないので・・ 仕方無い事なんだなと思いますが、真っ直ぐ水平に投げ出す練習はしたほうが良いです。
丁寧に飛ばせば飛ぶ機体が、変な手投げで姿勢を乱したまま放り投げられ、速度がつく前に墜落というのは良くあります。

エンジン機を普通に飛ばせる操縦技量は必要です。特にパワーの少ない機体をだましながら飛ばす技量は要求されます。
このサイズのダクト機に限らずプロペラ機でも乱雑な操縦はパワーの無駄食いにしかなりません。近年は無駄舵での失速を嫌い大きめのパワーの方が飛ばしやすいと言われる事が多いのですが、そういう飛ばし方ではマイクロ機は飛びません。あくまでも丁寧に操縦します。

慣れれば別にどういう問題ではありませんので、練習でクリアできます。ただし、機速がついていない状態で上昇しないからとアップをもっと引く癖のある人や、コントロールが危うくなった時にびびってアップ引く癖のある人は変な失速を招くだけですので練習が必要です。

後は手軽な機体で快音を楽しむ世界が待ってます。



後部ダクトについて
出来上がった機体に「後ろに紙コップでもつけてやるか・・」という事を良く聞きます。ダクト後部にテーパーの延長ダクトを付けると流速が上がり、飛行中の速度は上昇する場合があります。しかしその分静止推力は落ちます。なんでも良いという訳ではありませんのでテーパー比はいろいろ実験する方が良いです。
EDF50のノーマルの場合にはファンで加速された気流がそのまま解放されると横方向にも流れてしまい前向きの推力で少し損をします。このために後部ダクトを延長し、気流の方向が安定した状態で吹き出させてやる効果もかなりあります。絞ることによって流速を上げるというより、こちらの効果の方が大きい場合があります。
モーター後部を整流させるナセルを付けるのも効果的だと言われています。(海外には市販パーツで存在しますが簡単ですので自作できます)



GWS EDF40ユニット


EDF40をCD−ROMモーター化したときの初期の物です。
SuperFLYRCでのスーパーマイトの記事を参考に巻き線をいろいろテストした結果0.4mmポリウレタン線を16ターンでデルタ結線で使っています。
これでサンダーパワーの730mah3cellのリチウムポリマーを使い80W程度の出力で静止推力160グラム程度出ていました。

センターのハブは元のモーター取り付け穴にしっくりはまるサイズになっています。こうしておかないとケースのセンターに中心穴が来にくいです。

これを使った機体では、後にFeigaoの12ミリブラシレスモーターのKv5800の物に交換してテストしましたが、Feigao5800では70W程度の電力で165グラム前後の推力がありました。
上の画像の時点ではインペラのシャフト取り付け精度が今ひとつ良く無くロスが多かったのですが、これを改善すれば70W以上の供給ができる場合にはCD−ROMで回す方がより大きなパワーが期待できます。
(Feigaoの方が無難に扱えますので遊び道具としてならFeigao5800か5300の方が無難でしょう)
ただし、40ミリダクトでローターが23ミリ程度ありますので、効率的とは言えないような気がします。ファンの芯出しにローターの精度維持を気を付けてもある程度以上の推力を求めると難しい部分が増えてきます。狭い間を強引に流速上げる事になりますので音は凄まじい物になります。
同程度の推力を求めるならFeigao12ミリのKv5300か5800を使う方が電流値も低く使いやすいと私は思います。(本家のSuperFlyRCさんもそうなりましたね)
CD-ROMで調整とれた時の絶叫に近いパワーは魅力ではありますが・・
EDF50だとCD-ROMのデメリットが少し小さくなる気はします。

私の組み方ではローター側をシャフトへイモネジ固定ですので、インペラとシャフトは固定してしまう事ができます。
但し、ノーマルインペラの1.5ミリの穴を広げて行く場合には、0.2ミリ刻み程度で穴を広げ、ドリルの刃が食い付く時に偏芯しないように注意して作業する必要があります。
最後に3ミリのキリを通すときには2.9ミリで一回通しておいて3ミリを通さないと加工後の穴は3ミリより少し大きくなります。
3ミリのストレートリーマーを使うのが良いでしょう。(3ミリは使い道いっぱいありますから一つ持っておくと良いです)


GWS EDF50ユニット

EDF50をCD−ROM化した例です。
EDF50は現行の40や55の様にインテーク側がラッパになっていません。このためダクトケースそのものが歪んでしまい相当なロスを生じます。これは50RLCモーターを使う純正の時でも同じですので、インテーク側にケースが歪まないための補強をしてやると良い結果が出ます。
上の画像の機体では内径50ミリ外径60ミリのリングを1ミリカーボン板から作って貼り付けています。

こちらはノーマル50RLCを使う機体ですが、1ミリ航空ベニヤでインテーク側の面に補強をくわえています。吸気ダクト?と言えばそうなのかな?という程度のアールをくわえていますが、これによって推力は確実に上昇します。グライダーや軽量な機体に補助動力程度でEDF50を載せている場合も、インテーク側の補強で確実に良い結果が出ると思います。

50RLCモーターの場合はインテーク側の補強だけで大丈夫と思いますが、よりパワーのあるモーターを使う場合は、ダクトが推力を発生したときにひっぱらられて歪まない様に2点以上でマウントする必要があります。ケース剛性が上がるだけでEDF50は効率が上がります。
CD−ROM版では0.4ミリの15ターンで機体に内装した状態で120グラム以上の推力を発生します。(後部ダクトで流速を上げているため推力はあくまでも目安です)

どの場合も変な振動が出ている場合には決して無理はさせてはいけません。



CD−ROM化する場合にはダイレクトにペラを回す場合より2倍から4倍近い回転数で使います。ローターの振れには注意する必要があります。
上の画像ではマブチのRF320モーターのカンを使い穴精度の高いローターを作っています。
40円基板のローターは非常に薄い金属で作られているため、加工中に変形する場合が多いです。
市販のローターの外側から固定するホルダーを使うのが精度では有利ですが、少しでも外径を小さくしたい場合にはEDF40や50では不利です。

ノーマル樹脂磁石を使う場合は素材基盤モーターのローターを使います。通常のプロペラをダイレクト駆動する場合の回転数ではカンの振れによる振動も実用範囲ですが、ダクトの場合高回転になりますので、少しでも振れは防ぎたい所です。
カンの端面にハブを接着(瞬間やエポキシ)する方法が作りやすいのですが、高回転で振動を起こすとまれに剥がれてしまう事があります。またカンの素材が薄い事もあり端面の平面度が落ちている場合もあります。
カンの外側から固定するハブだとこれが多少改善されます。
5*5*1ネオジウム12枚を六極配置で(NNSSNNSSNNSSとして)使う方法も面白そうですが、マグネット自体の加工精度がそれほど大きいものでは無い様で振動の原因になりやすいです。
磁力が強ければトルクは上がりますが、ダクトの場合は回転数を主眼に置きたいためEDF50や40の様に低負荷高回転のダクトではノーマル樹脂磁石の方が好結果の場合もあります。
EDF55などもっと高負荷で低回転で使う場合はネオジウム張り替えで丁寧にバランスとってやる方法が一番良いのかもしれません。



インペラの取り付けをあれこれやってみる

50RLCモーターやFeigaoの12ミリモーターはシャフト径が1.5ミリですので、そのまま取り付けができます。但しこの場合にもシャフトの先にちょっとだけ高強度のロックタイトを併用しておくほうが安全です。
CD−ROMモーターを使う場合には、シャフトの先端が2.3ミリや2ミリに加工されたものを使うと加工が楽なのですが、電動カー用に3ミリのサスシャフトがいっぱい安価に売られていますからできればこれを使いたいです。
この場合には1.5ミリの穴を慎重に3ミリまで拡大し瞬間で固定して使うのですが、2個に1個は偏芯します。
そこでこの様なハブを追加してみました。
インペラの元の取り付けボスをリューターで落とし、インペラの根元にしっくりはまるサイズのハブを作ってやります。ハブのセンターは2.98ミリのリーマーで加工し、3ミリシャフトをロックタイト併用で圧入します。
これをインペラへ瞬間(高粘度でゆっくり固まる方が作業が慌てなくていいです)で接着してしまいます。分解はローター側からしかできませんが、精度保持の面ではこうする方が良いでしょう。
(これだと穴拡大に失敗したインペラが使えたりします)
旋盤加工が必要になりますが小さな旋盤でも加工はできますので、(厳密には大きな旋盤でないと加工精度は出にくいです)アルミ細工遊び用に小さな物を購入されるのも良いかもしれません。(業者まかせでもよいですけど、こんな事をしてみようという場合には大がかりになります。プロの方が精度は良いですけどね)旋盤やフライスは買っただけでは何の役にもたちません。いろいろ作っている間に加工の方法や段取りに慣れます。加工手順を考える事が製作の8割?とまで言われます。実際に使ってみればプロのすごさもわかりますし、自分で出来る事も増えます。




2004/12/13

2005/08/29 バランス取りについて追記