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十五の日、風雪激しく
新王国暦48A年A月D日
神殿より帰宅中に、事切れた、二人の男の死体を見つける。
服装からして盗賊風、見たところフリーの盗賊のようだった。
死体を埋め、土饅頭を作ってやろうとした所、赤子の泣き声を聞く。
周囲を探した所、近くの叢に生後数ヶ月と言う所であろう女児を発見す。
出生地を示すようなものを持っていないか探ったが、唯一の収穫として、
紋章のついた着物のみであった。止むを得ず、泣き叫ぶ女児を家に連れ帰る。
妻に事情を説明したところ、しばらくはわが子として育てようと決まる。
明日から牛の乳等を求めねばなるまい。離乳食でも間に合わせられるだろうが、
できればたまにこの子に乳を与えてくれる人間が欲しい所だ。
近くに子を産んだ母親はいないだろうか……?

ある、吹雪の夜。
彼がその道を通るのは何時もの事だが、その時間にそこを通るのは、全くの偶然だった。
「全く、どいつもこいつも弛んでやがるぜ……組み手二十セット程度でああもヘバるのが、神官戦士だってか?」
どうせ誰も聞いてはいない。 彼は思う存分、職場のへたれ具合を愚痴りながら歩いていた。
   ギィンッ
   「グッ……」
剣戟の音、くぐもった声。
……血の臭い。
「近ぇな」
気配を殺し、近づく。
見れば既に、その戦いは決着がついていた。
黒頭巾に、黒装束。
鏡写しの様な奴らの、唯一違う事と言えば……その片方の胸から、一筋の銀光が突き出している事位か。
「(仲間割れ、か……関わり合いになるのも厄介だな)」
と、その場を立ち去ろうとした時だ。
   ドサッ
なまじ、神殿の帰りだったのが悪かった。
聖印が木の枝に引っかかり、積もった雪が落ちてきた。
その音に振り返る、勝った男。
躊躇う事無く、蹴りを叩きこむ。
   数瞬後。
「はー、やれやれ、こんな時間にまで、ハードな運動させるんじゃねぇよ」
今や、まさしく鏡写しの姿になった敗者達に向けて、そう毒づく。
「さて、正体でも探らせて貰うか……」
徐に、懐を探る。
「……う、うっ」
初めに倒れた男が、僅かに呻きを上げる。
「お、生きてやがるか……おい、しっかりしろ」
そう呟くと、傷に手を当て、何事かを呟く。
「……んた、は」
「通りすがりの戦神の司祭だ、どうやらあんたとあんたの相棒の送り手になっちまったらしいがな」
平然と告げる。
「……な……ほ、ど」
「まぁ、お前らが何者かなんて聞くつもりゃぁねぇ……どうせ答えやしねぇだろうしな。
 だがまぁ、居合せたのもなんかの因果だ、末期の言葉くらい聞いてやる」
司祭というより、屈強の戦士の口調で話す。
「ひと……つ、だけ」
擦れ擦れ、言葉を絞り出す男。
「あん?」
「や、ぶ……の、な……」
その後は、声にならず。
「……藪の中、ねぇ」
服を探る事を止め、立ちあがり。藪の中へと踏み出す。
歩くこと、僅か
「……声か?」
雪が音を消す中でも、それは響く。
音を頼りに、歩を進める。
「……何てこった」
目の前には、羽毛と絹に包まれた、赤子の姿。
「……野郎、難儀なもんおいてくたばりやがったな……!」
そう毒づくと、こわごわと抱き上げた。
続きます。
NO@アリア SWRPG