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二刀流の秘密?
ある時、こんな話題が仲間内から出て来た。
――何で俺が、二刀流を使うようになったのか?
成程、確かにこの型は珍しいだろう。基本は武器を両手で持つか、盾を構えるかだ。
何故なら二本の武器を自在に操るのは、相当な修練が求められるからだ。
武器を二本扱う事が、ソレに相当する程の武力を得るに繋がるか。
そう聞かれた時、俺の事に関して言えば、こう答える。否、と。
じゃぁ、どうして俺が二刀流を目指したのか?
 
 
冒険者になってまだ日が浅い頃の話。まだ俺は剣を一本しか振るって無かった。
それも大量生産品の、飾り気も何も無い長剣を両手で持ってだ。
その頃、ちょっとした依頼でベテランの人と一緒になったんだ。
凄い人だったよ。彼の振り回す大剣が敵を薙ぎ払っていく所を見た時は、戦場でありながら鳥肌が立ったな。
で、そんな人との依頼の中で、俺はこう言われたんだ。
「お前に剣の才能は無い」
酷いだろ? いきなりだぜ。俺もそう言われて、面喰ったさ。
でも、だ。そんな事言われて、俺もただ突っ立ってる訳にはいかなかった。
一応、冒険者として、この剣で稼いではいたんだからな。
どうしてそう言える? 俺はそう聞いてやった。
すると返ってきた答えはこうだ。
「お前の剣にはキラリと光る物が無い。
速さ、力強さ、センス。そのどれもが足りない」
なんだとテメェ! と、反論さえも出来なかったさ。
自分でも分かってた。速さも無けりゃ強さも無い。
かといってソレを補える何かも無い。
結局、戦場に出れば代えの効く、ただの一人にすぎない。
昔っから分かってはいたさ。だが、他人に言われちゃむかっ腹が立つ。
だからせめてもの抵抗、とか考えてた時によ、続けてこう言われたんだ。
「だが、貴様は器用だな」
だとよ。
何の事言われたのか、反応出来なかった。
「貴様は、剣を振るえば達人には至れない。
射手としての大成も不可能。
魔術に関しては、あまり賢いとは思えぬな。
他も、匠には決して成れぬだろう」
そこまで言われて、どういうつもりなのかサッパリ分からなくなった。
コイツは俺を褒めているのか? それとも、けなしているのか?
「だがしかし、貴様はどれも、有る程度には達せられるだろう」
そんな事を聞いても、器用貧乏って言葉しか、俺には出てこなかった。
「故にお前は、出来ると思った事は全部やるべきだ。
そうだな、まずは――」
そう言って、彼は俺の左手、ロングソードを持ってない、空いた方の手を見て来た。
「まずは、その空いた手を埋める事だな。両手で振ってはいても、どことなくソッチはぎこちなかったぞ」
ソレ以上は彼との会話は無く、依頼は終了した。
ただその後、どうしても彼の会話が俺の中でグルグル渦巻いてた。
――出来ると思った事は、全部やれ。
それからだな。二刀流に手を出したのは。
で、何で盾じゃないのか?
ソレは至って単純な理由でな。
 
 
 
「最初は剣で斬って、拳で殴る、って方法から入ったからなんスよ……」
 
 
特にオチも無く Fin
影無し@エッジ SW2.0