×
アカイユメ
―――ある時期になると、決まってある夢を見る。
生々しい感触、紅に染まった手。
その手を、ひたすらに濯ぎ続ける夢だ。
そして、その狂乱を演じる俺と、それを冷ややかに眺める俺がいる。
――いや、もう一人。
――いい加減、認めろよ。
――楽しかったろ?
「……黙れ」
――嘘をつくなって。
――体をぶち抜く瞬間を、今も忘れられないんだろ?
「……ああ、吐き気がする位な」
――だから、銃を使うって訳だ。
――けどな?
――一度感じた興奮は、忘れられやしないんだぜ?
「黙れと言ったぜ……」
――嫌なだけの夢なら、見る筈がねぇんだよ……気付いてるんだろう?
「貴様……」
―――ああ、そろそろ夢から覚める。
―――幾度となく、繰り返された結末だから。
――どうよ、まずは有紗でも……
「黙れ……黙レェッ!!」
俺の手が、『奴』へと伸びる。
そして―――
 
―――暗闇の中で目が覚める。 いつも通りの結末、そしていつも通りの時間。
「……親父」
問いかける相手が、答えるわけもなく。
「……俺は、本当に」
「あんたが、命を捨てるだけの価値があったのか……?」
左手を、顔に当てた。
NO@鷹史 DX2