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ある人間の妹から見た姉のお話

(※このお話はあるドワーフの姉による妹自慢を読んでから楽しんでください)
…はぁ、ラーサ姉さんってば。もう。
姉が迷惑をかけてごめんなさいね。
それとわざわざ伝言までくれてありがとう。
それと…その、ラーサ姉さんから聞いたことは忘れて。
うん、ほら、私そんな凄くないしっ…た、鷹の目とかそんな凄いものじゃないわよ。
 
そりゃ、弓の腕にはちょっとは自信あるわよ?名前を授かるために旅に出たんだから。
自信がなきゃ出ないわよ。当たり前でしょ、私は姉さんの家の名前を継ぐんだもの。
 
ああ、うちの部族の名前については聞いてる?そう、聞いてるのね。
え?戦士の家じゃないのかって?
あれ?聞いてないの?……そう。ううん、なんでもないわ。
 
ラーサ姉さんの家はね、狩人の名前を持つ家なの。
で、私はその家に引き取られた人間の子供。何よ、その顔?
ちゃんと知ってるわよ、子供じゃないんだし。そりゃ聞かされた時は悩んだわよ。
私はこの家の家族じゃないんだって…でもね、今は違うわよ。
私には生んでくれた両親がいて、育ててくれた家族がいる、姉さんがいる。
それでいいじゃない、私達は家族なんだから。
 
……こほん。
えっと、なんだか話がそれたわね。
そう、家の名前の話だったわね。話し戻すわよ。
 
そうね…なんで家の名前を継ぐのかっていったら
……ラーサ姉さんにとって私は自慢の妹、だからかな?
ラーサ姉さんもね、昔は狩人の名前を継ぐ気だったの。
私と一緒に父さんの後をついて訓練してたし、私もラーサ姉さんと一緒になるんだって思ってた。
その頃の私にとってラーサ姉さんは、自分より前を歩いてくれる頼もしい存在だったの。
 
でもね、そうじゃなかったの。
ラーサ姉さんはずっと努力してたの。私の前で自慢の姉でいるようにって、妹の前にいるんだって。
私が簡単に当てていた弓も、姉さんはずっと努力して当てていた。
私が寝てからこっそり練習してたの。ずっとずっと、私なんかよりもずっと何倍も。
 
ある時お父さんにね、姉さんがこっそり特訓してることを教えられて、その特訓していた場所に行ってみたの
どの道具も凄く使い込まれてぼろぼろで、姉さんがあんなに努力してたのを初めて知って…
ある時、こっそりいったら姉さんが泣いてるのを見てしまったの。
「なんでリティみたいに弓を扱えない。なんでリティみたいに出来ない。何で…何で…」って
 
それからしばらくして、ラーサ姉さんは戦士になるって言い出したの。
きっと姉さんは狩人の道を選ぶことができなかったの。……私がいたから。
だから、ね。ラーサ姉さんに狩人の道を諦めさせた私は、姉さんにとって自慢の妹でいようって思ったの。
姉さんが狩人の道を諦めた位凄い狩人になろうって。
…それが理由かな。
 
あぁー…えっと、その、これはラーサ姉さんには内緒ね。
秘密だからね、絶対秘密だからね。

End
ケンジ@ラーサ SW2.0