「ったく、いきなり帰ってこいって…何があったんだか…」
数日前に届いた手紙の内容を思い出して、俺はぼやいた。
まあ、とはいえ久々の帰郷だ。師匠に近況報告したいし、姉さんと会うのも6年ぶりくらいか。
そう考えるとちょうどいい機会かもしれないな。

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帰郷



「しっかし、変わんないな。この村も」
ルキスラから歩くこと数日。まあ、蛮族とかも居たけど俺のピアシングの前には無力だな。やっぱりピアシング最高だ。
「お、ルクス!ルクスじゃねえか!」
「師匠…。お久しぶりで」
「おう!元気にしてたか?まあ、ひとまず死んでねえようで安心だ。ガッハッハ!」
「師匠も相変わらずうざい位に元気そうで」
「お前、そういうところ変わらねえなあ。ところで今日はどうしたんだ?」
「いや、何か母さんに手紙で呼び出されて…。なんか姉さんがどうしたとか書いてたけど」
「ああ、あの話か…」
「ん?何か知ってるのか?」
「いや、その話は俺が言うよりキャンディから直接聞いたほうがいいだろう。ま、落ち着いたら道場のほうによれや。キャンディやダオンも一緒にな」
ガッハッハと笑いながら師匠はこの場を後にした。
「ダオン…あいつも帰って来てんのか…。まあ、そりゃそうか」
ダオン=エスクリ。姉さんと一緒に冒険に出た男。まあ、あいつはいい奴だし、別にいいんだが…。ある意味あいつのせいで姉さんは出て行ってしまったわけだ。そのせいか何なのか分からないが、いまいち釈然としないものがある。なんなんだろうな…これ…。
とかなんとか考えているうちに家へとたどり着く。
「ただい…ぶっ!」
べぎっ!
「よう!ルクス!久しぶりだなあ!元気か?ん?どうした?鼻を抱えてうずくまったりして」
「っぅ…。いや、姉さんのせいだし。ってか今、分かっててやったろ?」
「その通りだ!」
「いばんな!」
「キャンディ、どうしたの?…あら、ルクス。おかえりなさい」
「ああ、母さん。ただいま…」
 
「ということで結婚します」
「はあ!?」
姉さんのいきなりの一言。
「えっとだなあ。疑問は山積みなんだが…」
「まあ、あれだ。冒険してるうちにダオンとそういう話になってだな。お前を呼んだのはその報告と結婚式の準備の雑用を押し付けるためだ」
「はあ…」
そうか、ダオンと…。
「結婚しても冒険はしばらく続けるけどな。一応式は挙げとこうと思ってな」
「ふぅん…」
「なんだよ、元気ねえなあ。まあいいや、とりあえずダオンのとこ行ってこいよ」
俺は言われるままにダオンの家へと向かった。
 
「やあ、ルクス。久しぶりだね」
「ダオン…」
「キャンディから話は聞いたかい?」
「ああ、結婚するんだってな。おめでとう」
「ありがとう」
「正直さっきいきなり聞かされたばかりでまだ混乱してるけどな…」
「はは、彼女らしいね」
「で、手伝えって話だったが…?」
「まあ、それほどやることも残ってないんだけどね」
「そういう手伝いか。なら準備してさっそく行くか」

「いやあ、大猟、大猟」
「さすがだね。随分腕を上げたみたいだ」
「それはお互い様だろ」
「6年ぶりか…。お互い変わるわけだね」
「そうだな…。…なあ、ダオン」
「なんだい?」
「姉さんを…幸せにしてやってくれ…」
「…ああ、必ず…」

数日後、礼服姿のダオン。その横に佇むのは純白のドレスを身にまとった姉さん。
「ふっ、その顔、やっと姉離れできたみたいじゃねえか」
「師匠…。…うるせえよ」
「ガッハッハ。そうやって成長していくもんよ」
「そうよ、ルクス。母さんももしかしたら再婚するかもしれないし」
「は?」
「ふふふ…」
「はぁ…勘弁してくれ…」
俺は肩をすくめた。
まあでも、幸せを祝福するのも悪くない、か。
フロスト@ルクス SW2.0