GPS Module for Nikon Digital SLR

 ニコンのデジタル一眼レフにはGPSが接続できるようになっており、"ジオタグ"すなわち位置情報を埋め込んだ写真が撮れるようになっています。最近は専用のモジュール:GP-1も販売されました。
 ニコンのデジイチに市販のGPSモジュールをつないでみましょう。


キットその1.秋月電子GPSレシーバモジュールキット(ポジション社製:GPS-52)
 はじめに、このキットで試してみました。
 モジュールは、ポジション社製:GPS-52、他にRS-232C変換ICとバックアップ用リチウム電池、電池ホルダ、三端子レギュレータ、9ピンDサブコネクタなどがそろったキットです。

キットその2.秋月電子RS-232Cレベルコンバータ内蔵GPSモジュール(CanMore社製:GT-720F)
 最近販売された新しいモジュール。CanMore社製:GT-720F、あちこちのブログ等によると、消費電流大食らいのようですが、感度は良好なようです。RS-232Cが内蔵されているので、PCに簡単につながりそうです。専用のコネクタ付きケーブルが付属。


1.まずは10ピンターミナルの仕様を調査する

 GPSは10ピンターミナルに接続します。このターミナルにどのような信号が出ているのか・・・・・
 コネクタのピンアサインや信号レベルについては、あちこちに情報がありますが、こちらのサイトが大変わかりやすく、参考になりました。深謝!
 10ピンターミナルには、電源、シャッターレリーズ、シリアル入出力信号が出ていて、シリアル信号のレベルはTTLのようです。

 一方、カメラの取説によると、GPSに要求される条件や接続方法は、

となっています。
 MC-35は、TTLとRS-232Cのレベルコンバータを内蔵したケーブルのようです。
 先ほどのサイトによると、GPSの出力信号がTTLであれば、MC-35を使うことなく、10ピンターミナルに直結できるようです。また、信号はGPSからカメラへの一方向のみ(垂れ流し)とのことです。


2.準備

その1.10ピンターミナルの出力電圧を確認する
 実際に電圧を測ってみました。Batt端子(1番ピン)は、カメラの電源スイッチON/OFFにかかわらず、常時電圧が出力されます。Vcc端子(8番ピン)は半押しタイマーがON中のみ+5Vが出力されます。

端子

D700

D700+MB-D10
(Ni-MH 8本)

D700+ACアダプタ
(EH-5a)

D200

D200+MB-D200
(Ni-MH 6本)

Batt(1番)

5.88V

5.88V

5.89V

4.92V

4.92V

Vcc(8番)

5.03V

5.03V

5.04V

5.04V

5.03V

   * ACアダプタを使うと、半押しタイマーは解除され常時ONになります。
 どうやら、カメラの電源事情にかかわらず出力電圧は一定のようです。

その2.延長コードMC-21を入手する
 作業がやりやすいように、10ピンターミナルの延長コードMC-21を入手しました。後々加工して、接続ケーブルに使う腹づもりです。


3.GPS-52をつないでみる

GPSモジュールの仕様
 キットのCD-ROMに入っているモジュールの取説によれば、主な仕様は、

コマンド入力により、ボーレートと測地系が変更できるようになっており、変更を保存するためにはバックアップバッテリが必要です。

モジュールをコンパクトにまとめる
 コンパクトにまとめることを考えて、ケースはタカチの TW4-2-5 を使うことにしました。
 0.5mmの真鍮板を加工し、30×45mmのシャーシ兼グランドプレーンを作り、この上にGPSモジュール、裏面に電池ケース、三端子レギュレータ、出力コネクタなどを取り付けました。
 三端子レギュレータと電池ホルダは、大きさと高さの関係でキット付属品は使わず、面実装タイプの3.3Vレギュレータと、タカチの薄型電池ホルダ CH7410型 を使いました。写真は組み立て途中のものです。
 これでちょうどケースに収まる高さになります。

インターフェースを作る
 キットに同梱されている、RS-232CレベルコンバータIC:ADM3202AN を蛇の目基板に載せ、1.27mmピッチのコネクタでGPSと接続します。1.27mmピッチコネクタは、両端コネクタ付きケーブルと基板側コネクタのセットを、鈴商にて100円で入手しました。

PCにつないで受信してみる
 キットのCD ROMに入っているソフト:GPSVPよりも、フリーソフトで使いやすいものがあります。
 こちらがオススメです。 >> GPS受信機用NMEAモニタ for Windows

受信状況
 室内の窓際: 受信できたり、できなかったり、できない場合の方が多い。
 窓の外、壁から1mほど外へ出す: 30秒ほどで衛星を捕捉し測位できた。
ボーレートの設定
 動作が確認できたので、マニュアルを参考にPCからコマンドを送って、4800bpsに変更しました。測地系もWGS-84に変更しました。

GPSの出力信号論理を確認
 先ほどのサイトによると、ニコン側の論理は、通信していない場合+5V/データが送られると0Vとのこと。一方、GPS-52のマニュアルによると、出力信号レベル:0V〜2.8V、Normal High とあり、データが送られると0Vに下がるビット構成図が書かれています。
 論理が同じなので、うまくいけばストレートにつながりそうです。
 念のためオシロで出力波形を確認。

仮配線でカメラに接続
 延長コードMC-21を使って、細いスズメッキ線をコネクタに差し込み、仮配線でカメラとつないでみました。GPSの電源は外部電源から供給、GPSのGND(2番ピン)を10ピンターミナルのGND(4番ピン)へ、GPS出力(3番ピン)を10ピンターミナルのRxD(2番ピン)へ接続します。

D700: あっさりと認識、液晶パネルの"GPS"アイコンが点滅。
D200: 直結では認識せず。トランジスタ2段でレベル変換回路を仮組み、出力レベルを0〜5Vに変換すると液晶パネルの"GPS"アイコンが点滅。
 * D700とD200では、インターフェースのレベルが違うようです。

衛星を捕捉できるように屋外へ出してみる
 カメラがGPSを認識したので、受信できるようGPSモジュールを窓の外に出してみました。
 しかし、GPSアイコンが点滅するものの、そのまま30分ぐらい放置してもアイコンが点灯状態になりません。なんで???
 衛星を捕捉していない?? 確認のためPCをパラレルにつないでみると、衛星を捕捉し測位できていました。

結果
 GPS-52モジュールの場合、カメラはGPSの接続を認識するものの、衛星捕捉をカメラが認識せず、GPSを正しく認識しませんでした。
 残念! とりあえずこのまま保留として、次のモジュールを試してみましょう。


4.GT-720Fをつないでみる

 このモジュールは、RS-232CとLVTTLが同時出力されています。電源電圧範囲が広く、バックアップ電池も内蔵しており、外部部品が少なくすみます。
 GT-720Fの主な仕様は、モジュールに添付された資料と、メーカのサイトからダウンロードしたデータシートによれば、

仮配線のインターフェースを作る
 キットの付属ケーブルは両端にコネクタが付いているので、これを二つに切って、PC接続用とカメラ接続用に使います。
まず、Dサブコネクタを用意し、秋月の資料を参考にPC接続用のケーブルを作ります。GPS-52のように、外部のレベル変換は必要ありません。DサブコネクタとモジュールのRS-232C入出力をつなぐだけ。かんたんです。

PCにつないで受信してみる
 室内の窓際でも受信OKです、GPS-52に比べ、捕捉する衛星の数も多く受信感度は高いようです。
 GPS-52と同条件で受信したとき、衛星を3〜4個多く捕捉します。
 気になる消費電流ですが、受信状態と電源電圧を変えた時に消費電流がどのように変わるか、見てみました。
  衛星捕捉中: 約180mA
  捕捉して測位中: 約120mA
電源を5V〜8Vで振ってみても、シリーズレギュレータが入っているのか、電流はほとんど変わりません。

ボーレートの設定
 CanMore社のサイトからダウンロードできる"GPS Viewer"を使い、4800bpsに変更、内部フラッシュROMに書き込みます。
 LVTTL出力信号の論理を確認したところ、GPS-52と同じく"Normal High"なので、そのままカメラにつながりそうです。

仮配線でカメラにつないでみる
 モジュールとカメラの接続は、電源、出力信号、GNDの3本を接続するだけでOK。仮配線でつないで動かしてみました。 受信感度が高いので、室内でも窓際ならば難なく衛星を捕捉します。

GPSモジュール

10ピンターミナル 

GND

6番ピン

GND

4番ピン

Power

5番ピン

Vcc+5V

8番ピン

LVTTL OUT

1番ピン

RxD

2番ピン

D700: そのままレベル変換なしで認識、すぐに衛星を捕捉、モジュールのLEDが点灯から点滅に変わると、カメラ液晶パネルのアイコンが点滅から点灯に変わり、あっさりと接続OK。カメラでGPS情報を見ると、しっかり位置情報を取得していました。
D200: GPS-52と同様、そのままでは認識せず、0〜5Vのレベル変換で認識、LEDが点灯から点滅に変わると同時に液晶パネルのアイコンが点滅から点灯に変わり、こちらも動作OKでした。

ケースに入れる
 ケースはタカチの SW-53 を使用。これが誂えたようにぴったりで、アンテナ用に角穴をあけ、側面にLEDの穴、スイッチの穴などを加工します、プラケースは作業が楽。GPSモジュール基板のバリをヤスリで軽く落とすと、すっぽり収まります。
 消費電流大食らいなので、節電できるように電源スイッチを付けました。スイッチは日開の GW-12LGP を採用、小型で歯切れがよいスイッチです。これをエポキシでケースに接着固定。
 D200でも使えるようにするため、GPSモジュール出力レベルを0〜5Vに変換します、手持ちのTC7W04Fを使い、バッファを2段追加してレベル変換しました。
 出力ケーブルは、古いオーディオケーブルから2芯シールド線を切り取り、スリーブは古い携帯の充電器から取り外したものを使いました。カメラへの接続は、変換コードMC-25を加工しました。


 アンテナの誘電体が露出しているのは気持ち良くないので、古いフロッピーディスクから切り取った梨地プラスチック板のレドームで覆います。アンテナの穴を切り抜いた板で、カメラへの固定用ホットシューを作り、底に貼り付けました。
 最後に、黒地に金文字のテプラでお化粧して出来上がりです。

カメラに取り付けてみる

 ホットシューの取り付けは、ファインダー側から見て、GPSをペンタプリズムの右側にオフセットすると、ケーブルとストラップが干渉しにくくなります。

 それにしても、ちょっとケーブルが長すぎたか・・・

 GPS-52に比べると電源大食らいですが、受信感度ははるかに高く、衛星を捕捉するまでの時間も短いようです。 消費電流が大きくても衛星捕捉までの時間が短ければ、無駄な待機時間が短くてすみ、トータルとして消費電力も大差ないように思いますが、いかがなものでしょうか。 しばらく使いながら様子を見てみましょう。(2009年3月15日)


5.撮影してみる Google Mapへのリンクあり

その1
 近所で撮影、桜の蕾がほころびはじめていました。[D700 Micro 60mm/2.8]  (2009年3月21日)  

1枚目の地図 2枚目の地図 3枚目の地図 4枚目の地図

 撮影時はD700の半押しタイマーは解除しています。電源ON直後は、衛星捕捉まで30〜40秒ほどかかりますが、一度捕捉すると、カメラの電源をOFFしても、再度ON後2〜3秒でロックします。
 ただし、ロック直後は測位精度があまり良くないようで、1枚目は衛星捕捉後一度OFF−再度ON直後に撮ったためか、位置が10mほど東にずれています。そのまま通電して撮影し、4枚目では位置ずれが2m程度に収まっています。
 初回の捕捉までは時間がかかるので半押しタイマー解除が必要ですが、その後は半押しタイマー解除が必要か? 精度はどうか? もう少しいろいろと試してみましょう。

その2
 標本木も咲きましたが、連日気温が低いので、一週間たっても満開になりません。[D200 AF VR 18-200mm]  (2009年3月28日)  

1枚目の地図 2枚目の地図 3枚目の地図 4枚目の地図

 電流大食らいのD200とGPSなので、AF+VR+GPSを使うと、電池インジケータが残り2コマから、数カットで撮影不能になりました。


6.GPS-52は何で認識できないのか?

 PCで各GPSモジュールからの信号をログに取り、出力信号を読んでみました。
両者で、出力信号 / 測位情報の内容が違います。GPS-52が認識できない理由は何か?・・・NMEAのフォーマットについて調べてみました。
 NikonのGPS信号に対する要求仕様がわかりませんが、各モジュールの出力信号を比較することで、「GPS-52のここに問題があるのではないか?」というところまでは、わかりました。 >>>  詳細はこちら
 GPS-52の出力信号フォーマットを変更する方法があれば試してみたいのですが、より優れたGPSモジュールを入手した今となっては、やるだけ時間の無駄と思い、あっさり諦めることにしました。GPS-52は、そのうち何か別の用途に使いましょう。


参考資料等


さらなる小型化にチャレンジ!  GPS Module for Nikon Digital SLR =Part 2= へ

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最終更新 : 2009年5月10日