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皆既月食を30年ぶりに見ました 2011.12.11


私は、昔は「天文少年」でして、日本で見える星座を概ね覚えており、仙台市天文台プラネタリウムに毎月通い、高橋製作所TS式65mmV-1型屈折赤道儀を持っておりました。当時の仙台市内は、2等星がようやく見える程度で、家で見える天体は「月、惑星」程度だったのですが、時々、親に郊外までクルマで連れて行って貰って星雲を見たり、彗星の写真を撮ったりしておりました。

「天体観測」というのは結構しんどい作業なので、今さら天体趣味を再開するのは無理ですが、現在でも夜空を見ればだいたい「あそこは何座」というくらいは分ります。

さて、昨日(2011年12月10日)の23時から約1時間、日本で皆既月食がありました。極めて限定された地域でしか見ることが出来ない「皆既日食」と違い、皆既月食は何年かに一度は巡って来ますので、天文少年だった頃に2回くらい見る機会がありました。「部分月食」では面白くも何ともないのですが、「皆既月食」になると、月が妖しい赤褐色になり、実に美しいものです。これは、空が明るい場所でも、「天気さえ良ければ」楽しむことが可能な「天文イベント」です。


小学2年生の息子が「皆既月食を見たい」と言っていたのですが、発生する時間が「23時6分から約1時間」という時間なのと、この時期の仙台の夜は冷えますので、小学2年生の子供に見せるのは難しいです。さらに、月というのは冬にはほぼ真上の高さに上るので(月の見える角度は、夏至の頃に一番低くなり、冬至の頃に一番高くなります)、照明を消して家の中から見る、という訳にも行きません。

家内から「皆既月食を写真に撮って子供に見せられないかしら?」と言われました。私が持っているカメラは、SIGMA DP1という、「銀塩換算で28ミリレンズ相当の、画質が良いだけが長所のコンパクトカメラ」だけなので、天文少年時代に月の写真を撮った経験から「ウチのカメラで月を撮るのは不可能ではないが、針で突いたような大きさにしか写らない」と答えました。

ただ、三脚と天体観測が出来る双眼鏡は持っておりますし、皆既月食の時間が近づくにつれて「天文少年の血」が蘇ってきまして、
「撮ってみよう」
ということになり、万全の防寒対策をして、三脚にカメラを取り付け、双眼鏡を持って23時(皆既月食になる5分ほど前)に家の外へ出ました。


ところが・・・1時間ほど前、家内が月食が始まった様子を見た頃は晴れていたそうなのですが、皆既月食の直前の仙台は、「薄曇り」状態となっておりました。かなり出鼻をくじかれてしまいました。

ですが、月が「見えなくはない」状態でしたので、やるだけやってみよう、と、カメラをつけた三脚をセットし、次いで双眼鏡で月の様子を見ようとしました。

ところが・・・月はほとんど真上にあるので(皆既月食は必ず満月の日に起きます。満月の日、月は午前零時に一番高く昇ります)、双眼鏡で月を見るには、荒川静香選手の「イナバウアー」のような姿勢にならねばなりません。真上の天体を双眼鏡で見た記憶というのはほとんどないのですが、何とかかんとか無理をして皆既月食状態の月を双眼鏡で観測しました。雲のベール越しですが、私が30年前に見た皆既月食より黄色が勝った「赤い月」を望むことが出来ました。


とりあえず、「皆既月食を見る」ことは出来たので、ダメモトで写真を撮ってみよう、ということになりました。

SIGMA DP1は、優れた画質のカメラですが、天体写真、ましてや「月」を撮るには最も向かないカメラと言って良いでしょう。
※ 私が天文少年時代に使っていた高橋製作所のTS式65mmV-1型屈折赤道儀は、カメラのレンズと考えると、「800ミリ F12.3」という超望遠レンズに相当するのですが、当時、一眼レフを望遠鏡につけて月を撮って、「月の模様やクレーターが辛うじて見える程度」の大きさに撮るのが限度でした。SIGMA DP1は、同じ表現ですと「28ミリ F4」のレンズなので、月を撮るなど「暴挙」となります。

ですが、とにかくやってみよう、ということで、薄曇りで月を視認するのも難しいという状況の中
「絞りはF4の開放、ISO100、露出は最長の15秒」
※ デジタルカメラは、長時間露出が原理的に難しいそうで、特殊なカメラ以外、シャッターを「バルブ」で開けっ放しにする長時間露出は出来ません。参考情報です。

「皆既月食を撮ってみよう」というのは、この日の22時くらいに思いついたことなので、何の実験もしていず、SIGMA DP1で15秒の露出をするのは今日が初めてです。

ですが、物事はやってみるものですね。1カット撮影して、視野の中に月が入っているのを確認して構図を直した後、月を「概ね視野の中心」に入れて、3カットの撮影が出来ました。

3カット目の撮影を終え、画像を確認した頃には、「薄曇り」が「曇り」になり、肉眼では月を視認できない状況になっておりましたので、それ以上の撮影は諦めました。


家の中に戻って、SIGMA DP1の画像をパソコンに取り込んでみますと、意外や意外、皆既月食の様子が撮影できておりました。上の画像が「28ミリレンズで撮影した画像」です。針で突いたような大きさですね。
下の画像は「月の部分を拡大した画像」です。月と、恒星が一個写っていますが、15秒の露出の間に日周運動により移動し、月も星も「線(楕円)」になって写っております。
翌日、息子に見せたら喜んでくれました。

(撮影できた画像)


(月を拡大した画像)