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少子化は当たり前・その2 2004.12.16


3年前に少子化は当たり前を書きました。その頃は、子供は一人にしておこうと思っていたのですが、二人目が生まれ、親戚からは「少子化の時代に実に素晴らしい」などとお褒めを頂いたりしました。

3年前には、「親の所得の増加を上回って子育てコストが増えることが少子化の根本理由。少子化は歴史の必然であり、不可避である」として、少子化とは「カネ」の問題であると結論しました。カネがないから、家が狭いから子供を作れないのです。

最近、世の中も分かってきたようで、

* 欧米では、日本の水準より相当多い児童手当を、成人するまで支給している例がある。それによって、出生率の低下を食い止めた。フランスでしたっけ?
* 現在、金銭補助による子育て支援というのはほとんど行われていず、児童手当の支給額もごく少ない。
* 従来、「金銭補助の少子化防止効果は疑問」という議論が主だったからだが、この辺で考えを改め、海外事例に倣ってはどうか。
* 現在、福祉予算のほとんどが高齢者に配分されている。もっともっと、子供に回すべき。

というような意見が出ているようです。上記のことは、産経新聞に書いてあったと記憶します。


上の子供が3歳を過ぎ、子育ての経験をだいぶ積みました。その結果、身をもって分かったことに、下記のようなものがあります。

1. 子育ては、主婦が全身全霊を持って当たらねばならない大事業である妻の様子を見ていると、本当に大変だと分かります。手を抜けばいろいろ抜きようはあると思いますが、その究極の例が「子供を車に閉じ込めてパチンコ三昧、子供は死亡」という悲惨な事故でしょうか。子供のことを思えば思うほど、母親の負担は増します。子供が一歳を過ぎると、妻は雨の日以外は毎日公園に出撃し、子供に社会性を見につけさせていました。私も何回か行きましたが、体力的にとてもついていけないほどハードでしたね。こうしたことは、自分の子供だからできること、他人には任せられないことです

2. 子育ては、主婦一人だけではできない。母(子供の祖母)、おば、姉などの、子育て経験を持つ肉親の女性の支援があるのが望ましいのですが、それでなければ、使い勝手の良い一時保育施設(例:さいたま市所在 こどものいえ)がどうしても必要です。なぜかというと、一時的にでも子供の面倒を見てくれる人がいないと、主婦は何もできなくなるからです。専業主婦だからと言って、朝から晩まで子供の面倒を見ているわけには行きません。体調が悪くても医者にも行けず、最後は倒れてしまいます。子育て支援というと、「子供を預けて仕事をできるように保育所の整備」ということばかりが言われますが、本当に必要なのは「育児に挺身する主婦を支える一時預かり施設」だと考えます。こうした施設は、故郷を離れ、肉親の支援が得られないサラリーマン家庭にとって切望されるものです。

3. 共稼ぎは無理。政府、新聞などは、最初に書いた例外的な論説を除き
* 育児休職制度の拡充
* 働く女性のための保育所拡充
* 父親の育児休職制度の普及(私に言わせれば、気違い沙汰です)
* 男女共同社会の推進、父親の子育て参加
と言った「子供を産んでも、共稼ぎで働ける社会」の実現を目指しているようです。こうした動きを表立って批判する向きは少ないようです。

そもそも、子供を他人に預けて働くには、保育料以上の金を稼がなければなりません。また、(1)で述べたように、子供を他人に委ねることによる子供へのマイナスを打ち消すには、よほど稼げる=社会に貢献できる仕事をしなければ、経済的にも社会的にマイナスになってしまいます。

そうしたことをできる女性とは、まず、医師・弁護士・公認会計士・薬剤師などの難関資格を持った人でしょう。この場合、マイナスを打ち消して余りあるお金を稼げますし、出産でブランクがあっても相応の職を得られますから。看護婦の場合はどうか分かりません。

また、公務員の場合は、長期の休職をしても確実に職場に復帰できますから有利です。職場によっては、毎日定時退庁できる場合も多いでしょうし。

他の場合、出産した女性は、多くの場合はパートタイムの職にしかつけないと思われます。なぜかというと、「出産でキャリアを中断した女性を使い続けられるほど、民間企業は甘くないから」です。また、転勤族の妻は、フルタイムの仕事についていたとしてもそれを捨てて夫について行くしかなく、その後はやはりパートの仕事しかできないでしょう。

そして、そうした女性は、
「仕事についていないと子供を保育所に入れられない。子供がいては、パートの職につけない。よって、子供を預けることもパートに出ることもできない」
となるようです。

要するに、資格専門職、あるいは公務員の女性でない限り、お祖母さんに子供を預けられるのでなければ、子供を抱えての共稼ぎはできないのです。


こうした、ちょっと考えれば自明の事実が無視されているのは、

* 政策立案をするのが、独身の若手官僚だから。彼らは子育ての大変さなど全く知らないでしょう。
* マスコミの人は、転勤族のはずですから、奥さんはたいてい専業主婦でしょう。子供を預けて働くことの実態を知っているかどうか?
* 役所やマスコミの学校秀才は、フェミニズム(ジェンダーフリー論)にどっぷり浸かっているから。

だからと推論します。


産経新聞にあったような「同情するならカネを出せ」という、実質的な子育て支援、専業主婦支援が行われるようになれば、それに見合った効果があると思われます。なお、私や妻の知り合いで、30代で最初の子供を産もうという女性が今年になって増えています。もしかすると、景気回復の影響かもしれません。これが全国的な傾向であるとすれば、「少子化はカネの問題」という私の意見を補強する材料と思います。