Last updated Nov 21, 1999
東京フィルハーモニー交響楽団 第407回定期演奏会, 指揮: 小泉和裕
エルガー/ヴァイオリン協奏曲ロ短調 Op61 ヴァイオリン:渡辺玲子
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ブラームス/交響曲第1番ハ短調 Op68
会社を早めに出て、渋谷駅には開演の30分前の18:30には着いていたのですが、雨のために、ただでさえ混んでいる渋谷の道が、一面の傘によって更に歩きにくくなっていてオーチャードホールに着くのには結構苦労しました。東急デパート東横店で天むすを仕入れて、開演前にホワイエで詰め込みます。なお、東急デパート本店の食品売り場は意外に弁当類が手薄なので、オーチャードホールに行かれる方は事前に弁当を用意しておくべきでしょう。
私は、クラシックを聴き始めの頃に、アンドリュー・デイヴィス指揮BBC響のエルガー/交響曲第1番を聴いて感動しました。カッコイイ曲だなあと思いましたね。今でも、演奏頻度の高いチェロ協奏曲はさほどで好きではないですが、ヴァイオリン協奏曲、結構数の多いヴァイオリン曲、エニグマ変奏曲、「威風堂々」などは好きで良く聴きます。
中でもヴァイオリン協奏曲は、ヴァイオリン協奏曲の中の名曲の一つと言えると思うのですが、実演で演奏されることは稀なようです。理由としては、数あるヴァイオリン協奏曲の中でも最も難しい部類に入るからだそうですが、そうなのかなあ?と訝しく感じていました。1F18列目、少し右よりの絶好の席につきます。
今日は前半一曲・後半一曲のプログラムですので、開演後直ちに渡辺玲子が拍手に迎えられて登場します。本日の玲子さんのドレスは、いつもにも増して見事なものでした。
* 生地はレモン色に近い明るい金色のようです。しかし、全体に細かいエンボス(ルイ・ヴィトンの、マークの入っていない青とか赤とか緑の製品群がありますね。あれを想像してください)が斜め方向に入っているらしく、ライトを浴びると七色に光ります。胸のところに茶色の三日月のようなストライプが入っていますが、それ以外にいくつものストライプが絶えず閃いているという感じで目を見張りました。
* 後ろには、深紅と紅のプリーツがあしらってあります。何と表現すればいいのか難しい感じでした。
結構長い序奏が終わって彼女が弾き出します。彼女の神技に、会場が水を打ったようになるのはいつものことですが、しばらく聴き惚れている間に、この曲の演奏機会が少ない理由が分かりました。比較的似たパッセージが、次第に変わりながら延々と続いて行くというのはベートーヴェンの協奏曲と似ていると思うのですが、奏者に凄まじい精神力と演奏力を休むことなく要求する曲であると言えるでしょう。渡辺玲子は、日曜のメンデルスゾーンと同様、一音一音に魂をこめながら弾き進んで行きますが、それぞれの楽句に「玲子節」とも言える変幻自在の表現がなされています。月並みな表現ながら「神の如し」というのがぴったりで、キョンファでもここまでできるかどうか?と感嘆するばかりでした。普通のソリストであれば、この曲はちょっと選べないのではないかと思います。
第二楽章の最後でちょっと息を入れて、第三楽章に入ると、彼女のヴァイオリンから繰り出されるエネルギーにただただ圧倒されるばかりでした。キョンファもそうですが、ほとんど神秘の世界と言えるでしょう。CDではずいぶん聴きこんだエルガーのヴァイオリン協奏曲の新しい姿を見たという感がありました。
長い長い曲がフィナーレを迎え、一瞬の静寂の後で拍手とブラヴォーが巻き起こります。私は、ふだんはブラヴォーを叫ぶのは(特に玲子さんの演奏会では)遠慮しているのですが、今日は自然に出てしまいましたね。拍手が鳴り止むわけもなく、計5回呼び戻されることとなりましたが、楽員の皆さんが足を踏み鳴らして渡辺玲子を称えるのは、昨年9月の東響との演奏会と同じでした。
渡辺玲子のエルガーを聴くことができただけで今日は大満足なのですが、休憩後のブラームスもなかなかのものでした。実は、私はシンフォニーの中ではブラームスが一番好きなもので。一番については、ヴァント指揮シカゴ響のライブ(1989年)を愛聴しています。
ブラームスの一番は、つい最近に大植英次がN響を指揮してN響史に残るような名演を見せた模様ですが、今日の小泉和裕の指揮も見事だったのではないかと思います。客席の反応も良かったですよ。
この演奏会ですが、半年ほど過ぎた1999.11.21(日)にNHK-FMで全曲放送されました。私は、たまたま行っていた渋谷のデパートの屋上で、通勤用の携帯ラジオ(モノラル)で聴いたのですが、それでも深い感銘を受けました。6月の演奏会で、満場の聴衆の耳を一身に集めて演奏していた玲子さんの姿が脳裏を過りました。この放送録音をそのままCDにしてくれればいいのにと思いましたよ。