Home

渡辺玲子 インタビュー
CDジャーナル」(2003年10月号)より

Last Updated Mar 4, 2004


(取材・文 山田治生))

この5月に初めてサンクトペテルブルクを訪れた渡辺玲子は、同地でアレクサンドル・ドミトリエフ&サンクトペテルブルク交響楽団とショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を共演した。


1955年にオイストラフとムラヴィンスキーが世界初演したのと同じホールで演奏してきました。ロシアの街に行き、ロシアの音楽家たちに会い、皮膚から中に入ってくるものがありました。ロシアの音楽家たちのフレーズの歌い回しに、私の思っていた方向で、かつ、ロシア独特のものを聴くことができ、楽しかったです。


このあと、彼女は6月に来日公演を行ったサンクトペテルブルク響と日本で再び共演した。そして、岡山でのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と札幌でのショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番をライブ録音した。


録音といっても、コンサートとしての演奏をやりました。ですから私もオケも勢いや即興的なものがいくらか入っています。チャイコフスキーは小学校の5年生くらいから弾き始めてもう100回以上演奏会で弾いています。ヴァイオリンの魅力を十分に出してくれる曲で、何回弾いてもマンネリになりません。ショスタコーヴィチの第1番は、彼の音楽にある独特の内面的な部分と、反対に、表に出てくる狂ったように激しい部分とがあり、そういう所が好きです。第3楽章のカデンツァは一つのクライマックスですね。


オーケストラとの共演での彼女は、いつも彼らに積極的に働きかける。


オーケストラって100人ほどの団体でしょう。ソリストが少しオーバー目に示しておいた方が彼らはノリやすいんです。協奏曲ではオーケストラとの対話が大切です。チャイコフスキーの第3楽章とかは、明らかに対話の構成になっています。チャイコフスキーは彼らの音楽だから、自然にきれいに表現していましたね。ショスタコーヴィチの冒頭のオーケストラの部分も、一息でしっかりと弾いてくれたので、入りやすかった。


渡辺玲子は85年以来ニューヨークに暮らしている。「ニューヨークは自分のペースで生活できる街」だという。そんな彼女が、来年(2004年)の春学期から、新しく開校される秋田の国際教養大学で芸術学の講師を務める。授業は全て英語で行われる。


私にとって大きな視野で勉強できる機会です。ヴァイオリンを通してにはなりますが、芸術とは、パフォーマンスとは、について具体的に示したいと思っています。この2年間、音楽以外の勉強もしてきました。それらをアウトプットする場が与えられて、うれしい。


コンサートでは、来年(2004年)10月-12月に、浜離宮朝日ホールで、ブラームスのソナタを中心とするリサイタル・シリーズが予定されている。ブゾーニ、レーガー、ツェムリンスキーなどの作品を交えたものになるという。