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渡辺玲子 インタビュー
N響オーチャード定期プログラム収録

Last Updated Mar 5, 2000

玲子さんが出演した、N響オーチャード定期(2000/3)のプログラムに,見開き2ページに渡って玲子さんのインタビューが掲載されていました。コンサートに先立つ2/9に、東急文化村の中のレストランで行われたようです。玲子さんのチャーミングな写真もあしらわれていて、そのままスキャンして掲載したいくらいですが...


N響との共演で印象に残っていることはありますか?

15歳の時に、「若い芽のコンサート」で初共演したことです。指揮者の大友直人さんがデビューした時で、ピアノの清水和音さん、ギターの山下和仁さんがいっしょでした。私は日本音楽コンクールの優勝(当時15歳で最年少記録)によって選ばれ、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番を演奏したんですが、コンクールの時より緊張していたかもしれません。N響とはこれまでにパガニーニ、バーバー、プロコフィエフなど幅広いレパートリーを弾かせて頂いて、そのたびにいい勉強になっています。


シベリウスのヴァイオリン協奏曲についてお聞かせください。

久しぶりなので、フレッシュで楽しみです。はじめて弾いたのが16歳の時、最初に壁に突きあたったコンチェルトでもあるんです。シベリウス自身がヴァイオリニストを目指していたこともあるのでしょうが、技術的にむずかしい作品です。左手もポジションが上がったり下がったり激しく、苦労して練習したのを覚えています。その後各地での演奏会デビューでこのコンチェルトをよく弾きましたので、いろいろな思い出が浮かびます。第一楽章の冒頭、北欧の白夜を思わせるメロディーから情熱的な第二楽章、第三楽章の強いリズム感と、それぞれの楽章のキャラクターを明確に表現できればと思います。特に素晴らしいのが第二楽章。ヴァイオリン・コンチェルトには、さまざまなすばらしい第二楽章がありますけれど、個人的にはシベリウスが一番好きです。


現在使用しているヴァイオリンについてお聞かせください。

日本音楽財団から貸与された1709年製のストラディヴァリウス"Engleman"を使い始めて4年目になります。財団が所有する前のオーナーが、アメリカのエングルマンさん。その前の持ち主も演奏家ではなかったので、それこそ150年近くも弾かれていない時期があったそうですが、幸運にも非常に良いコンディションで保管されていました。それでも最初はやはり音が出なくて、ヴァイオリンに従うように弾いていました。音が出るようになると、今度はこんな風に弾きたいというわがままが出たり、前の楽器のクセを押しつけてしまったり...今の楽器がきちんと鳴るように自分を変えるまで、1、2年はかかりました。それから楽器に合った弦と弓を探すのも、いろいろ試したりしながらでなかなかたいへん。最近、ようやく私とヴァイオリンが上手にやっていける時期に入ったように感じています。演奏の幅を広げてゆく上で、楽器に教えてもらうことも多いし、弾くことが楽しくなってきましたね。


音色の特徴は?

ストラディヴァリウスには一般的に美しい音色というイメージがありますが、私が使っているものは、その上に内蔵されたパワーがすごい。以前使っていたイタリア製のヴァイオリンと比べると、やはり倍音が違うのでしょう。大ホールで最弱音で弾いてもちゃんと音が通るんですね。それからガルネリのような低音の強さをあわせ持っているので、今回のシベリウスには音色的にもぴったりだと思います。使いたいと思っても使えるヴァイオリンではないので、タイミングよくお借りすることができて、本当に感謝しています。大人用のヴァイオリンになってこれで4台目なんですけど、これまで使ってきた楽器の裏板が、すべて一枚板なのにも何か運命的なものを感じてしまいますね。