04/08/01


黄色いビニール袋が、空を舞った
それを見つめる、白い壁に包まれた私
工事のために組まれた足場の青が
空の青と重なったりするはずもなくて


抜け出すにはどうしたらいいのか


何もないこんなときにばかり
あなたを思い出すのはどうしてでしょう


でも、ね


あなたを…





ううん、なんでもないの


ただ・・・、ここから抜け出せたら
この橋から飛び降りることだってできるなんて
そんなこと私は言えないから


結局、その程度だったのだと、思うことにしたわ























04/08/05


夏の夜
銀色に光る水面に
浮かび上がった、いくつもの思い出たち


こんなにも鮮明に。あなた。


私はシャワーを取り出して、その思い出に




「ザァ、ザァー、ザァ・・・」





少しのあいだ、歪んだそれ、は
またすぐに、輪郭を取り戻して


すぐに、波は消えて


繰り返し、終わらない








私の顔だけが、どんどん歪んだまま     その  まま























04/08/07


何も知らないあの子達に聞かれた。





「あの人あそこでアルバイトしてるの?」





「えぇ、そうよ。」





さも、あなたのことを知っているかのように、私。


あなたたちよりも、ずっと彼のこと知っているのよ、と。
"見せつけ"たかった。


本当はあの頃の10ぶんのいちも知らないくせに。
知ることが出来ないくせに。ね。





だから、これはもう、私の強がりなだけなの。























04/08/07


降り続く雨、光る黒い空


あぁ、こんなにも
外に出ていたことを後悔した日はないでしょう




何故か今日は、空が曇って
何故か今日は、あなたがそこにいて
何故か今日は、私はそこにいなくて





いつだって、タイミングの悪い私たち。





上を向くと目を瞑りたくなる明るさの中、一人
座っている時間が、長かった


今すぐにでも、あの赤い電車に乗って


あの街へ駆けてゆきたかった





あなたと過ごした、あの街へ・・・























04/08/08


あの頃から、私は風船を持って歩いていた。


大事に、大事に、それを抱えて


ゆっくり歩いたら
すごく大きくなっていた。いつのまにかね。





手に力が入りすぎたのかしらね?


今、その風船は割れて、そして
飛び散った破片は消えずにまだ、
私の心の内側に張り付いて、剥がれない。


もしかしたら、
割れてしまう前に消してしまった方が
よかったのかしら?


そうすれば泣いたりなどしなかったかしら?








でも私、そんな魔法は使えなかったのよ。残念だけれど。























04/08/09


緑に光るこんな小さな機械から
聞こえる、あなたの声
あのころよりも なぜか穏やかに


なのに
少しだけ震えた、その声。





もしも私が乗った鳥が


飛んで



落ちたら


泣いてくれるかしら?





無理にでも会えばよかったと、嘆いてくれるのかしら?























04/08/10


海風に包まれて、二人
ゆっくりと記憶を辿る
そっと開いた手帳からたくさんの幸せが


落ちる、 カサリ、過 去り


その中に紛れていた、あなたからの言葉





「そんな思い出捨ててしまえ」と、言われたのに


「嫌だ」と、また仕舞い込んだ





ぽつぽつと流れる、言葉に
ゆらゆらと流れる、時間に


泣いて・・・笑った








できることなら、あなたとあのキラキラを見たかった























04/08/18


焼ける肌が、あの夏を思い出させる


あの頃はできなかった、ことが
今なら出来るのは、立場が変わったせい?





そんなんじゃないの


ゆっくりと上る坂と
あの自販機と
あなたを待ったあの道と


全てが変わっているわけじゃなくて
全てが残っているわけでもなくて


でも、私ね
いつも二人で帰ったあの道を
今、ひとりで歩いてみて
新しい発見もたくさんあったわ


だって、あのときと違って





あなたの方を見ずに、前を向いて歩いたんだもの








それが私にとって、残念なのかそうでないのか
決めるのは私だわ























04/08/20


ツクツクボウシの鳴き声が、今年も聞こえ始めて。
私の胸を締め付けて。


夏の終わりを告げるその声は


毎年私を悲しませた、寂しさで包んだ。焦らせた。
そして、少しだけ
あなたに会える嬉しさを運んできた。





でも、ね
今年だけは違うの


痕 少しで、あなたに会えなくなってしまうから。























04/08/21


私たちの関係に憧れると、
瞳を輝かせて言った彼女が


あまりにも懐かしそうにあの頃のことを話すから


だからなのか、
この気持ちは。


思い出が、多くて 多くて。
溢れて止まらずに。


強がってみせているけれど、本当はずっと。
思い出になったのだと言い聞かせているけれど、





今でも、ずっと。























04/08/21


伸ばした手を引っ込めることができずに
そのまま頬に触れた
いけない、いけない、いけない
なのにどうしても、あなたに触れたくて


気づけば、抱き締めていた


帰り際わざとヘルメットに書いた2文字は
知られたくないのか、知って欲しいのか
わざとらしすぎる私の涙に
あのいつかの公園も


遠く、なってしまった。





特別なだけじゃ満たされない。


そんな気持ちであなたを支えるなんて到底無理だけど、


でも、海を隔てた場所に行くことが寂しいんじゃなくて。





そんなことはとっくに分かってる。























04/08/26


ピンク色の携帯電話。
懐かしんで、涙を流してどうするのか
自分でも分からないけれど。


幸せそうな言葉が溢れて、いて
どうしたら、もう一度
あなたと手を繋げるのか、


そんなことばかり考えている。





明日から、私、もうこの言葉さえ見えない。


繋いだ手のぬくもりも
囁いたその声も
見つめたその瞳も


全部、全部


全部、記憶の中でしか感じられない。





どれか一つぐらい、私にくれたって






いいのに