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特定非営利活動法人
わき・あい・あい

〒 152-0004
東京都目黒区鷹番2-15-5
TEL&FAX 03-3714-6960

“地域で支えるいきいき元気な高齢者”

第一部 講演会 柴田 博 氏(桜美林大学大学院老年学教授)
第二部 パネルデイスカッション
     ボランテイア・介護者・区職員・保健師・社協職員
 日時 1月27日(火)午後2時〜4時
 場所 区民センターホール
 主催 特定非営利活動法人 わき・あい・。あい
 後援 目黒区  目黒区社会福祉協議会
 *入場無料 参加希望の方は直接会場へ 定員400人



講 演 要 旨
* 講演内容を要点だけまとめたものです。
正確さには欠けますが、当日講演を拝聴した者の
自分用メモとして残したものとご理解いただければと思います。従って文責は齋藤個人にあります。
講師 柴田 博 氏
  桜美林大学大学院 老年学教授
  前 東京都老人総合研究所副所長
○今日のテーマ 高齢者の課題は、“サクセスフル・エイジング”=良い人生を送って天寿を全うすることができるかということです。
 そのためには、病気を予防して寿命を延ばすという長寿が一番目です。
二番目は、生活の質の向上です。この生活の質の向上とは、1.自立していること 2.主観的健康観  寝たきりでも自分は健康だといえること 3.いい環境にあること 生活環境、居住環境 =物的環境+社会的環境 4.自分の人生を幸せと感じること だと言えます。
そして三番目が高い社会貢献(プロダクテイビテイ)です。相互扶助と言い換えてもいいのですが、高齢者が若い人達を支える、高齢者が高齢者を助けるという活動をいいます。社会貢献には、自営の方のように生涯現役での有償労働や、有償労働と同じような能力や意欲が必要な家事労働さらにお金にはならないが孫に勉強を教えるといった無償労働があります。さらに子育て支援などのボランテイア活動がある。
 このボランテイア活動は、相互扶助や高齢者の互助といってもいい。これには、給食サービスなどの手段的サポートと悩みを聴いてあげたり支えになったり楽しみを与えてあげるなどの情緒的サポートがあります。傾聴ボランテイアやシニアピアカウンセラーです。また高齢者が家族に介護してもらう手段的サポートを受けていても、家族のほうに情緒的サポートをしているとうこともあります。相互扶助というのは、私与える人、あなた受ける人という関係ではありません。必ずお互いにサポートを受けている。
 さらにアメリカ的考え方でいえば、セルフケアによって健康で過ごせば医療費がかからないので、これも社会貢献ということができます
有償労働については、日本の失業率は4,50代が2〜3% 2,30代が10%を越えています。これは若者がフリーター志向だからというのではなく、高齢者が若者の仕事を奪っているということです。若者には若者向きの仕事を与え、70代80代まで有償労働をするのが、社会貢献だと考えるのではなくもっと柔軟に社会貢献というものを考える必要があります。
一昨年の国連・世界高齢会議では、社会資源として高齢者を活用しようという宣言が出されました。高齢者をみんなでいたわろう、高齢者の権利をまもろうなどという、高齢者を差別せずにサポートしていこうということではありません。高齢者が世の中を支えていく、すなわち社会貢献するということです。
それでは高齢者に社会貢献する力があるのかということになりますが、例えば新しい老化のしかたなど深い研究成果があって、こういう裏付けをもって高齢者の社会貢献という宣言にいたったわけです。

○PPK=ピンピンコロリについて
  人間の最後は必ず介護が必要です。その期間が短いか、長いかの違いは  あるが、その介護を避けてコロリといくには自殺=尊厳死を選ぶしかない。   高齢者、特に女性の自殺率は世界一です。これは不幸なことです。介護をうけることが人間という生き物にとって当然という気持ちをもつことが必要な事だと思います。人間は動物のように生れてすぐ自立できない。だから最後も他人の手を借りなくてはいけないという生き物だと思うことによって、介護に対する考え方が変わるのではないでしょうか。

○新しい老化の考え方
 今までは年とともに能力が落ちていくのが老化と考えられていました。最近では、直角型の老化、すなわち終末期にストンと落ちると考えられています。
また能力には二つあり、自転車に乗るなどという動作性能力と概念を操作して価値判断をしていく結晶性能力があります。動作性能力は中年以降低下していく。但し、動作性にでる能力でも叡智にまで高められたものは、生涯発達します。例えば93歳の朝比奈隆さんの指揮のようなものです。これは芸術家に特有のものというわけでなく、子育てに関しては高齢者はこの動作性をお高めた結晶性能力をもっているといえます。味覚についても同じことがいえます。

○高齢者の健康=自立について
 高齢者は長生きしているに決まっています。途中成人病で命を落とせば高齢者になっていないからです。そうすると高齢者にとって健康とはなにか。病気の概念は若い人を中心に考えられているので、高齢者は一病息災でいいのではないか。大事なのは、生活機能の自立です。人工透析を受けていても社会貢献している高齢者は大勢います。生活機能が自立していれば、病気であっても高齢者は健康だといっていいのではないでしょうか。
 歩行、食事、排泄などの日常生活動作能力(ADL)が自立している人は、65際以上で95%です。しかし、電車バスに乗るとか買物ができるかなど金銭管理が出来る人は80%程度になります。ここまでの自立ができていないと、現在のような夫婦2人での生活は難しくなります。
 小金井市での調査では、社会活動性が低いと自立が落ちやすいという結果がでました。自立度が低下するのは、運動習慣とか家族の有無とかがまず考えられますが、知的な能動性があるか、積極性があるか、社会的役割を果たす能力があるかが大きく関係しています。
 またコレステロールが低い人も自立度が落ちやすい。血液中のアルブミンという蛋白質が少ないことが生活機能の自立度そして寿命に関係しているわけです。

○高齢社会は寝たきり高齢者が増える
 5年に一度の東京都の調査では、寝たきり高齢者は減っています。数は増えていますが、全体に占める割合は減っている。痴呆もアルツハイマー型は増えていますが、脳血管性痴呆が減っているので、全体的には痴呆性高齢者は減っています。高齢社会になる障害、痴呆、寝たきり高齢者が増えるという話ばかしですが、人口全体の割合からみれば減少していますし、今後対策がうまくいけばもっと減るかもしれません。
 高齢者が増えるということは、自立した高齢者が増えるということです。マスコミ等では障害老人が増えるという論調ばかしですが、そうではなく自立した高齢者も増えるわけですから、必ずしも高齢社会が暗いということにはなりません。

○日本人の寿命が延びた理由
 戦前の日本人の寿命が欧米と比べて短かったのは、栄養不足です。動物性の脂肪・蛋白質がたりない。大正7〜8年の食生活は、一日成人は六合米を食べていた。カロリーは2,200キロカロリーですから今より多い。しかし動物性蛋白質はゼロの日が週に2〜3回ある。植物性蛋白質は米と大豆から今の1.5倍位摂取していた。
 それが昭和55年頃には蛋白質のうち植物性と動物性の割合が同じ程度になってきました。この頃ちょうど日本が世界一の長寿国になっていった時期です。
戦前に比べて昭和30年代から食生活がよくなったと思われている方もいらっしゃいますが、芋が減って米に変わっただけです。代用食が米に変わったわけです。肉や乳製品は今の1/4〜1/3くらいです。
 昭和40年代になると米が減り乳製品が増える。このあたりから日本人の病気が変化してくる。“粗食のすすめ”では昭和30年代の食生活が一番だといっているがそんなことはありません。
 日本人の国民病は脳血管障害です。脳出血もあるし脳梗塞もありますが、これが日本の平均寿命を下げていました。次が結核。その脳血管障害が減ってくるのが、昭和40年です。だから昭和30年代の食生活がいいとはいえないのです。
 日本人は100年間カロリーは増えていません。むしろやや減っているくらいです。しかし米が減った分肉や乳製品が増えた。但し脂肪などは欧米の1/3くらいですので、アメリカのように心臓病は増えていない。癌も増えていない。だから欧米を抜いて世界一の長寿国になったのです。

○コレステロールが低いと長生きできない
 医学はずっと栄養学と無縁でした。しかし最近は患者さんの栄養に関する質問が多くなってきましたが、医者はまだ栄養学の勉強が足りません。
 脳出血は血管が破れるわけですから、血管の栄養状態が悪い。肉や乳製品をとらずにコレステロールが低くやせていて、かつ高血圧のタイプに多い。一方
脳梗塞はコレステロールが高いと起こりやすいと思われています。しかし、食生活が変わってコレステロールが高くなっているにもかかわらず、脳血管障害は減ってきています。
 日本人の場合、コレステロールが低い人に脳血管障害が多いといえます。
具体的研究では、昭和40年代の秋田県の調査 コレステロールが150 昭和50年代は少し上がって170ですが、脳梗塞は半分に減っています。コレステロールが低くて脳梗塞が多いのは長野、東京・大阪はコレステロールが200あって脳梗塞は非常に少ない。
 アメリカの研究では、ハワイの日系人の研究があります。9年間8000人の追跡調査の結果、心臓病はコレステロールの高い人に多い、癌は逆で低い人に多い。脳梗塞も低い人に多い。日系人ですから遺伝的には今の日本人と同じと考えていい。コレステロールが240ちょっと越えたあたりが一番脳梗塞が少ない。

○アメリカ人と日本人はいっしょではない
 コレステロールが低いほうがいいというのは、アメリカを中心とした心筋梗塞についてだけ言えることです。日本人の場合、コレステロールが280でもアメリカ人の発生率の1/5しかないのですが。
 極論するとコレステロールが低いことは、脳梗塞も癌も肺炎もそして自殺まで影響してくるわけです。コレステロールが高いのはいけないことだというのは、日本人の3倍近く脂肪を取っているアメリカ人のガイドラインで、それをそのまま日本人に適用することはおかしいことです。
パネルデイスカッション
 パネラー 松原純子さん 介護者 目黒区在住
      小林雅子さん ボランテイア 八雲ミニディ主宰
      松尾伸子さん 目黒区 保健師
      平岡 司さん 目黒区 高齢福祉課長
      谷口雅彦さん 社会福祉協議会 ボランテイアセンター
 コーデイネ-ター
      齋藤義明 NPO法人わき・あい・あい

○ 柴田先生の講演を受けて、今回の講演のポイント・新しい高齢者像と高齢社会での相互扶助について それぞれのお立場からお話をいただきました。
○ 時間が充分とれず、パネラーの方々にはその意を充分にお話できなかったことをお詫び申し上げます。
○ なお主要な発言については、次号にてご紹介させていただきます。