第六章「恋はあせらず」


エリカが病室からそっと出てきた。

エリカ「大丈夫。軽く頭を打っただけですって。カツラさんも‥じきに目覚めるわ」

サカキ「よかった‥」

サカキは全身の力がぬけるように安心した。

キョウ「それよりさあ、どうしてタケシ、俺は草薙剛だー!!なんて叫んだだ?」

タケシ「なんか僕、みなさんにも作者にも忘れられているようで‥。
    だからつい、カッとなってしまって‥あんな事言ってしまったんです」

実際、忘れていた作者。

マチス「タケシが草薙剛だったらミーは香取慎吾だよネ」

キョウ「じゃあ、拙者がキムタクだ」

カスミ「絶対ちがう‥‥」

キョウ「あっ、なんだと?このガキ」

カスミ「キムタクはそんなにオヤジじゃないもん」

キョウ「オヤジ?オヤジっていったな!?貴様〜、許せん!!」

エリカ「どうして、あんた達ってそうやって話がずれちゃうの!
    今はナツメの事を心配するんでしょう!」

看護婦「その前にあなた方、静かにして下さい!
    患者さんが起きちゃうじゃないですか!」

全員「ごめんなさい‥」

看護婦のでかい声でナツメは目を覚ました。
どうやら自分は病院に運ばれてきたらしい。
少しばかりの消毒液の匂いと頭に巻かれている包帯でわかった。
顔を横に動かすとカツラがベットをはさんで眠っていた。

ナツメ「カツラさん‥‥?」

カツラ「ナツメ君か。私はとうに起きているよ。
    明らかに勝負は君の勝ちだ。私は負けたのだよ‥」

ナツメ「‥カツラさん‥」

カツラ「本当のことをいうと、なぞなぞ博士なんて誰でもよかったんだ」

ナツメ「えっ?じゃあ、どうして‥‥」

カツラ「‥‥話がしたかったんだよ。誰かと。
    私には情熱的なところもあってだろうか、さみしがりやなんだ」

ナツメ「‥‥‥」

カツラ「かといって、まわりに親しい友人はいないし‥。
    ジムリーダーってことで一応、
    君たちと話しをしようと思ったけど、私は素直じゃなくてな。
    今回のような結果になったんだ。
    ‥悪かったな‥
    初めてのデートをつぶしてしまって」

ナツメ「デートはいつだってできます。
    今のカツラさんって昔の私によく似ているわ。
    私もさみしいと何十本もスプーン、曲げちゃいましたから。
    やっぱり人って自分がさみしいと、そんな行動にでてしまうんですね」

サカキ「ナツメ、起きているのか?」

サカキが入ってきた。カツラはそくざに寝たふりをした。

サカキ「話し声がしたんだが、‥カツラと話していたのかい」

ナツメ「‥サカキさん、お願いがあるの。カツラさんを許してあげて。
    悪気があってやったわけじゃないのよ。
    ただ‥人としゃべりたかっただけなんだって。
    サカキさんはカツラさんにさらわれた被害者なのかもしれないけど‥」

サカキ「‥‥許そうが許すまいが私にカツラを裁く権利なんてないよ」

カツラ「!」

サカキ「カツラにさらわれてわかったんだ。
    ヤマブキシティの人達やフジ老人の気持ちが‥。
    自分の町を乗っ取られたり、さらわれるっていう事はすごく恐いってことを‥。
    そして必ず誰かが助けに来てくれるって信じることをね」

ナツメ「‥‥‥」

サカキ「これは罪ほろぼしなんだよ。
    だから私はカツラをうらんだりはしない。むしろ感謝している。
    これから一緒にうまくやっていこうと思う。
    何よりナツメ。こんな私を助けてくれた君に一番感謝してるよ。ありがとう‥」

ナツメ「サカキさん‥‥あっ、そうだ。サカキさんに渡したいものがあったんだっけ」

ナツメはポケットの中をさぐった。

ナツメ「あった、あった!」

サカキ「?」

ナツメ「はい、これ」

サカキはそれを受け取った。

サカキ「これは‥なくしたと思っていたグリーンバッジ。どうしてナツメが持っているんだ?」

ナツメ「サカキさんがヤマブキシティから出ていく時落としていったものなんですよ。
    それをたまたま私が見つけて‥」

サカキ「そうか‥。でも、返さなくていいよ」

ナツメ「え、どうしてですか?」

サカキ「ナツメに持っていてほしいんだよ。
    グリーンバッジ‥いわゆる私の分身だ。
    会えなかった時やさびしい時はそれを握って私を思ってほしい」

ナツメ「‥‥‥(赤面)」

カツラ「‥‥‥(サカキ君、それはくさいよ)」

サカキ「その変わり」

サカキはひょいと、ナツメの服についているゴールドバッジを取った。

サカキ「このゴールドバッジをもらうからな!」

ナツメ「‥‥はい!」

カツラ「‥‥(くう〜、ポケモン交換ならぬバッジ交換か。今どきの人って‥)」

ナツメ「‥‥(サカキさん、やっぱり、かっこいい‥)」

ナツメはため息をつき、サカキをみつめた。
ナツメの見たサカキは少しおかしいところがあった。
普通の人には見えないバラや花やらサカキの肩、バッグに咲いている。
これは、まさしく少女マンガである。
やはり、エリカといい、乙女というものには妖精の国が見えるのだろうか?
二人はまたしても見つめ合った。

サカキ「‥ナツメ」

ナツメ「サカキさん‥」

カツラ「いよっす」

サカキ「うわあああ、カツラ!!」

カツラが唐突に声をかけてくるものだから、サカキは驚いた。

ナツメ「カツラさん‥寝ていなかったの?(赤面)」

カツラ「うむ」

サカキ「‥人がいい空気になっている時には声をかけずそっとしておくものだ!
    それがマナーというものだろ!?」

カツラ「いやあ、私がいたら、もっといい空気になるんじゃないかと」

ナツメ、サカキ「‥‥‥(なんてプラス思考)‥‥」

カツラ「‥ふう、さてと冗談はここまでにして改めて二人にあやまろう。
    さきほどのことは悪かった。すまん」

ナツメ「もう、過ぎたことだし、いいですよ」

サカキ「私もだ。さっきの言葉、起きていたのなら聞いていたのだろう?
    私に、カツラを裁く権利なんてないんだ」

しかしその顔つきはさっきの雰囲気をよく邪魔してくれたなと言っている。
とりあえず、三人の間のわだかまりも消え
ナツメとカツラの二人は翌日退院できた。


タケシ「退院、おめでとうございます」

カスミ「生きて帰れてよござんした」

エリカ「そして新しいカップル誕生!!」

キョウ「‥拙者はまだ認めていないからな!」

マチス「もう、意地を張るのはよしなヨ〜」

他のジムリーダー達の暖かい祝福?をうけながらも
サカキは油断できずにいた。
退院後もナツメの家に電話をかけようとすれば
誰かの変な視線を感じるし、留守番電話にガッチャマンの歌が入ってる事も多々ある。
ヤマブキジム、おもにナツメの家の近くを通り過ぎようとすれば、
あの少女マンガチックな殺気が。
‥それでもサカキはめげなかった。

サカキ「これしきのことで私はめげん!
    ‥いつか必ず、私はナツメと一緒になれる日がくるのを待っている。
    いつか必ず野原や浜辺でおいかけっこしたり、
    手料理とか作ってもらったり
    ナツメ「はい、サカキさんアーンして」
    サカキ「パクッ」
    とかできたりすることができるのを‥。ナツメ、待っていてくれ‥!!」

果たしてナツメは待っていてくれるのだろうか?
そしてサカキの願いは叶うのだろうか?
キムタクはキョウでいいのか?
‥それは遥か遠くでほほ笑んでいる作者以外、誰も知らなかった。


‥がんばれ、負けるなサカキ
愛に苦悩はつきもの、愛に苦難はつきもの
いつかナツメさんに思いが伝わる日がくる 
そんなお前の不器用な愛はピカチュウのごとしなんだから 
タケシの目が開く、いつかその日まで
(‥‥開くのかなあ?)
                      by作者 
                   


エンド (絵・ババロア2世)