第一章「始まりの始まり」


あれから2年後。赤緑青の世界は金銀クリスタルの世界となるはずだが、
赤青緑の世界が金銀クリスタルの世界になるまでは
3年経過しているので、後1年足りない。
その1年間これから過ぎ去ろうとしている。
実は新しいジムリーダーを迎えるにあたってちょっとした事件がおこっているのであった‥‥。


新しいジムリーダーの就任式はトキワジムの庭にて行われた。
カントー各地のジムリーダーが集まり新しいメンバーの顔合わせと
歓迎会も取り混ぜてちょっとしたパーティーを行うのだ。
序式はサカキ氏の挨拶から始まった。

サカキ「少々あつかましいが、私の挨拶で始めていただくことにする。
    今回、就任式を開いたのは、私はトレーナーをしてのイチからやり直すことと、
    ポケモンの修行に励むため、しばらくトキワジムのジムリーダーの権限を
    ある人物にまかせようと考えた末のことだ」

エリカ「挙手!」

サカキ「どうぞ」

エリカ「その人物とはどなたですか?
    私、まじめなサカキさんのことだからとても有能な方だと思っているのよ」

マチス「きっと、サカキに似ているんだろうねェ」

サカキ「有能‥‥確かにそうなんだけど‥‥」

カスミ「それにチョーかっこよくってえ、背が高くってえ、頭もよくってえ、
    キムタクそっくりって聞いただわさ」

サカキ「‥‥‥‥そんなふうになっているのだな‥」

タケシ「しかし、それじゃあ、僕もますます影がうすくなってしまいがちですね」

カツラ「いやいや、新しいメンバーが加わるのだ。一層楽しくなるに違いない」

サカキ「風の噂とは罪作りな‥しかし隠したところでしょうがない。
    では、そのいとこを皆に紹介しよう。グリーン、でておいで」

サカキはいとこの名を呼んだ。
グリーンと呼ばれたその男はひょっこりとテーブルの下からでてきた。

サカキ「‥‥(何故そこから‥)」

サカキはどうやら
このいとこに手を焼いているようで拳を握り締め怒りをおさえていた。
グリーンは「おいこらしょ」と腰をぽんぽん叩き、集まっていた
ジムリーダーの顔ぶれをしばらくじーっと眺めていた。
エリカ達もじっとグリーンを凝視した。
青いスパッツに紫のぶかぶかの長いシャツ。ペンダント。
服装はどうでもよかった。問題は噂とはかなりかけはなれた顔。
オヤジっぽくって、毛虫をのっけたようなまゆげでモミアゲだった。
グリーンはふっと笑うと喋り始めた。

グリーン「こんちわ、俺グリーンっつーもんです。
     正式名称は
     グリーン・ユースケ・スズキ・スコットランド・ラ・フランソワーズ。
     あ、今、日本人なのに
     なんで外国人っぽい名なんだ?って思ったでしょ?でしょ?
     実は、うちのじいさんのじいさんのそのまたじいさんが外国人なわけさ! 
     だからよぉ、西洋の名前ってかっこいいだろう?ラとかドとかぁ。
     あんまりかっこいいもんだからつけちゃったんだけど、
     どうにも長くてしゃーねぇや。
     だからグリーンって呼んでいいぜ」

グリーンはたっぷり行を使って喋った。

ナツメ「私‥、サカキさんのいとこって聞いて楽しみにしてたのに
    少しがっくりだわ‥」

ナツメは自分にしか聞こえないような声でぼそっとつぶやいたが
グリーンはお喋りだけでなく地獄耳(デビルイヤー)でもあったらしい。

グリーン「がっくりとはな〜、いただけない発言だぜ。
     もし俺がアメリカ人でここがアメリカだったらとっくに
     人権損害で告訴して慰謝料がっぽりいただいちゃってるぜ。
     ま、ここが日本だからよかったもんだけどよ」

サカキ「グリーン、少し黙りなさい!主役がレディに絡んでみっともない!」

グリーン「おっさん、いいじゃねーか、俺の歓迎会なんだし、もうちょっと
     喋らせてくれたっていいってもんだぜ。主役はこのグリーン様でぃ!」

サカキ「すまない、ナツメ‥‥この子は下町生まれの下町育ちだから少々
    品がかけているから‥‥」

グリーン「え?おっさん、この女の人、ナツメさんっていうの?」

ナツメという名を聞くと、グリーンはころっと態度を変え、手をとり握手をした。

ナツメ「はあ‥‥」

グリーン「なんだあ、ナツメさん。
     いや、ナツメ叔母さん。いつも叔父がお世話になってまーす。
     いつも聞いているよ、うちの嫁さんはすごくよく出来た人だって。
     おのろけ話は聞いていたけどけっこう美人さんだね〜
     とりあえず、俺は叔母さんの甥にあたるわけだからさ。気安くグリーンでいいぜ。
     ちゃん付けだとちょっと嬉しいかな。グリーンちゃ〜んってか」

ナツメは顔を真っ赤にした。

ナツメ「どうして、そんなことになっているんですか‥‥サカキさん?
    私達結婚なんてまだまだそんな‥!」

サカキ「いや、その口が滑ったと言うか、こけたというか、ついつい
    官僚のごとく‥‥」

ナツメ「も〜、信じられない!」

彼女は顔を隠すとテレポートで消えてしまった。
その後サカキ氏も

サカキ「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ‥‥」

といいながら同じく顔を真っ赤にして地の果てへと駈けていった。

グリーン「出任せだったらしいな〜。つまんねーの」

エリカ「なんだか、私サカキさんがグリーンの叔父だっていうことが
    なんとなくわかってきたような気がするわ‥」

残された6人は呆然と立ちすくんでいた。

カツラ「とにかく、グリーンくん。どうやら私達のことは少々事実を見誤っているが、
    サカキくんから聞いているらしいね。
    私達は新ジムリーダーの君に期待しているのだからね。
    さっそく今日から仕事をしてもらうよ」

グリーン「悪いが、それはいただけねぇ。
     この後は友達4人と飲み会の先約が入っているんだ。
     レッド西村とイエロー松島が俺のジムリーダー就任のお祝いに
     飲み屋を予約しといてくれたんだ。
     それにブルー五十嵐は時間に厳しい奴でね。遅刻すると雷が落ちてくらぁ。
     ま、そこがかわいいとこでもあるんだけど。あ、おれの恋人でもあるんだ」

カツラ「‥君はジムリーダーに役目を果たさないというのかね?」

グリーン「そういうわけでもねえけどさ。ただこっちは忙しい身でな。
     じゃあな、あばよっ!!」

続いてグリーンも街へとダッシュでいってしまった。
エリカ「‥まったく失礼な奴ね。期待して損しちゃったわ」

カツラ「チョムカ〜」

マチス「しょうがないから、せめて用意された食事はもったいないから食べちゃおうヨ」

カスミ「そうするだわさっ」

タケシ「そういえば、今日はカントージムリーダーが全員きてるってのに、
    キョウさんがきてませんね‥」

エリカ「そうなのよ。いつもならこういう時はすっとんでくるのに。
    何かあったのかしらね?」



続く (絵・ババロア2世)