あらすじ:キスティス達は、聖天使アルテマの依頼によりアルマを誘拐した。
     その直後、クラウドはアルテマの器になるためキスティスに気絶させられた。


とある人里離れたところにさびれた墓場があった。
墓石には苔がびっしりとこびりつき、その墓がはるか昔に建てられたことをうかがわせていた。
そして、その苔の下には
 「聖天使アルテマの眠るところ」
という意味の古代文字がかかれていた。
その墓を目指し、制限速度を一発免停になるくらいオーバーしたスピードで走る車があった。


「おいおい、キスティ、いくらなんでも飛ばし過ぎだろう。今時速300キロだぞ。」

「大丈夫よ、あたし、ガーデンでは『バラムの女シューマッハ』と言われていたから。」

「…シューマッハだって一般道を300キロで走らないぞ。」

「まあまあ、心配しないで。早くしないと夜が明けてしまうから。」

「夜明けだとアルテマが復活できないのかい?」

「いや、夜の方が気分的にいいって言う向こうの都合だけよ。」

「何で夜なんだ?」

「…きっとアルマちゃんに昼間じゃできないようなことをしたいからでしょ?」

「…」

キロスはますますアルマが気の毒になり、
さすがのキスティももう何も言いたくない気分になっているらしい。


「さて、依頼された所に着いたわ。ここよ、アルマの墓は。」

キスティがキロスにつぶやいた。

「キスティス、そんなことより、車が大破したんだけど・・・。」

あまりのスピードに車のブレーキがいかれてしまい、
キスティスとキロスは間一髪で車から脱出したのだった。
クラウドとアルマは、キスティスとキロスが抱えていたので大丈夫だった。
正確に言うと、
クラウドは着地したときちょっと腕をぶつけたらしく、二の腕があらぬ方向に曲がっていたが。

「大丈夫。あの車、クラウド名義で借りたから、責任はクラウドに行くわ。」

「あんたやっぱ鬼だよ。」

「なんとでも言ってちょうだい。この世の中、使ったもん勝ちなのよ。」

「・・・」

もうキロスは何も言う気力が起きなかった。

「さて、あとはクラウドの体を使ってちょっとやばい天使を復活させるだけね。」

「どうやって復活させるんだい?」

「復活の呪文があるのよ。それを墓の前で言うだけで復活できるんだって。」

「で、その呪文は?」

「ええとね、ああ、これだわ。じゃあ言うわね。『えてみ さころ りきら ・・・』」

「ドラクエ2の『ふっかつのじゅもん』じゃないか!」

キロスは派手にずっこけた。

「しょうがないでしょ。本当にこう書いてあるんだから。」

「なんちゅー天使だ。こんな天使を昔大まじめに復活させようとした奴もばかに違いないな・・・。」

「さて、呪文を唱え終わったわ。一体どうなるのやら・・・。」

「もう何が起こってもどうでもいい気分なんだが・・・。」

「あたしもそうよ。」

ふたりが半ばやけくそな気持ちになったそのとき、
突然クラウドの体から眩しいばかりの光が放たれた!

「おっ、天使の復活か?」

「馬鹿な天使だけど、復活はやっぱり派手なのね。」

キスティは妙に冷静だった。


光が静まった瞬間、クラウドの体がゆっくりと起き上がった。
そして、くるりとキスティス達二人の方を見つめた。

「あっ、僕、また復活できたんだ!ラッキー!!あんたたちが復活させてくれたんだね!サンキュー!!」

中身が聖天使アルテマのクラウドがうれしそうに叫んだ。

「いやあ、ありがとう!あんた達に頼んでよかったよ。くーっ、これで僕の長年の夢がかなうんだ!!」

「お礼はあとでいいからちゃんと報酬を払ってね。」

「キスティ、相変わらず冷静だな…」

「うんうん、ちゃんと今払うよ。
 ほら、10億ギルの小切手。本当にありがとう!…でも何か腕が痛いな?」

「そりゃそうよ。折れてるから。」

「うぎゃーっ、痛い!痛い!痛いよ―!!助けてー!!」

「何だか情けない天使だな。」

「天使でも所詮ロリコンだからね。」

「くそっ、べホイミ!!」

「こらっ、いくら天使だからってよその呪文使うな!!」

キスティスが叫んだ。

「ふーっ、治った、治った。
 さーて、これでアルマを僕の思い通りに…ふふ、ふふふ、ふはははははっ!!」

「笑い方だけ悪人だな。」

キロスは顔に縦線走らせてつぶやいた。

「ちょっと待って。あなた、本当にアルマにxxxxや○○○するの?
 お金もらっといてこういうこと言うのもなんだけど、それだけは流石にいけないと思うわ。」

キスティが珍しく常識的な発言をアルテマに向かって言った。
「私もだよ。いくらなんでもそんなことをすれば
 私達は変質者の手伝いをしてしまったことになる。」

「ああ、手紙に書いてあったことね。あれは軽い冗談だよ。

 あれは思わず自分で盛り上がってしまって・・・」

「盛り上がるな!!」

キロスが叫んだ。

「僕はそんなことはしないもんね。それじゃ僕はアルマに嫌われてしまうだろう?」

「もう十分嫌われているわよ。」

「僕は自分なりの愛情表現をするんだ。そうすればぼくの愛情は確実にアルマに伝わる!」

「人の話を聞きなさいよ!」

キスティスがキレた。

「(聞いてない)…僕はもう逃げたりしないよ、アルマ。さあ、僕の胸に飛び込んできておくれ!!
 …って、なーんだ気絶してるのか。
 ちっ、つまらないな!」
「彼女のほうが逃げているのだが。」

キロスが突っ込みをいれた。

「それでもいいさ。さあ、アルマ、僕の愛を受け入れておくれ!」

そう叫んでクラウド(アルテマ)はアルマの上に乗りかかった!

「う、うーん、・・・な、何?ここはどこ?
 それに何か重たいんだけど・・・って、ぎゃぁーっ!!」

最悪な瞬間で、アルマが目を覚ました。

「な、何よ、このつんつん頭の男は!!離して!離して!きゃーっ!!」

「うふふふ、アルマ、もう君を逃がしはしないぞ!!うわっはっはっ!!」

「いやーーーっ!!」

アルマはまた気を失った。

「やっぱり変なことをするんじゃないか!!
 お、おい、キスティ!いくらなんでも危険じゃないか、これは!」

「大丈夫、いくらあたしでもこれ以上アルマを危険にさらしたりはしないわ。」

「一体どうするつもりなんだい?!」

「こうするのよ。ちょっと反則技だけど。」

「反則技―?」

「何時の間にか身につけてしまった『物体瞬間移動の術』!ティファさーん、カモ―ン!!」

「なんとまあ御都合主義的な技なんだ・・・。」

キロスが呆れると同時に、ティファが現れた。


「はっ、ここはどこ?あたし、台所で料理を作っていたのに・・・。」

「ごめんなさいね、ティファさん。あたしの裏技で、あなたをここに呼んじゃったの。」

「あらっ、キスティにキロスさんじゃない・・・。どうしてこんな所に?」

「実は、キロスとあたしが仕事の帰りにこの近くを通ったら、
 クラウドがあんなことをしているのを偶然発見したの。」

「あんなこと?」

怪訝そうな顔をするティファに対して、
キスティはクラウド(アルテマ)がアルマに乗りかかっている現場を指さした。

「ぐへへへへ!!アルマ、アルマぁーーーっ!!」

クラウド(アルテマ)が、本能剥き出しで叫んでいた・・・。
「・・・・・・!!!!」

ティファの体から、キスティもたじろぐ程の殺気が放出された。


「クラウドーーー!!!
 あんた、あたしという女がいながら、何をやっているのよっ!!
 北の大空洞に行く前夜のあの言葉はなんだったのよ!!
 この変態!!ロリコン!!悪魔!!犯罪者!!あんたなんか死んじゃえーーーー!!!」

「ぎゃーっ!!」

クラウド(アルテマ)の断末魔の叫び声が、夜が明けるまで響いた。


その様子を、キスティとキロスはただ見つめていた。

「うーん、ティファさんて、
 普段はかいがいしくてかわいいけど、一旦怒るともう誰も止められないのよね。
 まあ、そのおかげで聖天使アルテマもクラウドの体から抜け出たみたいだし、
 アルマさんも取り返しのつかないことにはならなかったし、一件落着ね。」

「あの二人の結婚生活は取り返しがつかないかもしれないがね。」

キロスは他人事のようにつぶやいた。


数日後のこと・・・

「うう・・・、俺が何をしたというんだ。
 アルマをさらって、車を運転しているときまでの記憶はあるけど、そっから先の記憶がない・・・。
 それにティファは『しばらく実家に帰ります!』って手紙残していなくなっちゃうし・・・。
 ああああ、やっぱりあんなことしたからこんな目にあうんだ・・・。」

ミイラのように包帯を巻かれたクラウドは自宅のベッドで泣きながらぼやいた。
まあ、記憶がないのが不幸中の幸いといえば幸いなんだけど。


一方そのころ・・・。

「ラムザ兄さん!!あたしの事を忘れてしまったの?兄さん!!兄さん!!」

「ここはどこだ?僕は誰なんだ?君は誰なんだ?そして僕は逃げ出した・・・。
 酒場でミルクを頼むのに理由がいるのかい?
 アグリアスさんて男じゃなかったの?郵便ポストが赤いのはどうしてなんだ?」

「兄さーーーーん!!」

ラムザはクラウドに殴られたショックで、かなり遠い世界に行ってしまったのだった。


最後にどうでもいいけど、聖天使アルテマはもう二度と復活することはなかった。



(第2部終わり) (絵・リクエストないけど、第2部完結記念として勝手に描いちゃいましたババロア2世)